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公開日:2017.08.01
デザイン・シンキングもしくはデザイン思考として、知られる手法について具体的な事例を基に解説する連載の第8回は三菱重工グループの事例です。ベンチャー企業と連携し、生活者の視点で現行の公共上下水道とは異なる新しい水インフラの事業化を推進する取り組みを紹介します。
CASE STUDY 05 三菱重工グループ
新しい水処理システムなどの創造、人材育成の推進
新規事業創出プロジェクトを部門横断型で推進、1000件以上のアイデアから絞り込んで、事業化のアイデアに結び付けた
三菱重工グループは、新規事業を創出するプロジェクトに、大学発のベンチャー企業と連携して取り組んでいる。部門横断型のプロジェクトとして、新しい水インフラの事業化などを、デザイン・シンキングの手法を取り入れて推進中だ。
エネルギーや環境、交通・輸送、機械・設備や航空・宇宙など幅広いインフラ事業を展開する三菱重工グループは、新規事業を創出する部門横断型のプロジェクト「K3」に取り組むに当たり、デザイン・シンキングの手法を取り入れた。
各事業部門から32人の中堅・若手メンバーが参加し、東京大学i.school発のベンチャー企業であるイノベーションラボラトリーと連携しながら2012年11月からスタート。この結果、現行の公共上下水道とは異なる新しい水インフラの事業化アイデアを生み出し、現在はさらなる展開に向けて動きつつある。
プロジェクト名の「K3」には気合(Kiai)と根性(Konjyo)で1000(Kilo)のアイデアを出すという意味が込められている。
「フィールド観察などを行い、自社や他社の技術的な視点も加えて整理したところ、実際に1040個もの事業化アイデアが出てきた。それを社内の専門家なども加わって市場や収益性も考慮し、最終的に2件に絞り込んだ」と八木田寛之・プロジェクトリーダーは言う。
実はK3プロジェクトを立ち上げる前に、国内の大手コンサルタント会社の支援を受けたが、従来の延長線上の発想しか出てこなかった。そこで若手から発案があったデザイン・シンキングの手法に注目し、K3プロジェクトが承認された。
K3プロジェクトの狙いは新規事業の創出だけでなく、人材育成の意味もある。10年後の新規事業を考えるのは、現在の経営者ではなく将来のリーダー層が担うべき、という認識が背景にあるからだ。
新規事業の気付きを得るため、最初の2カ月間は先進事例の調査や情報収集を行った。そうした活動から、パーソナルインフラという既存のインフラ事業とは逆の考えが出てきた。
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執筆=日経デザイン編集部 大山 繁樹
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ビジネス課題を創造的に解決するデザイン・シンキング