ビジネス課題を創造的に解決するデザイン・シンキング(第16回)やるか否かではなく「いつやるのか」が問われている

スキルアップ

公開日:2018.04.03

  • PDF PDF
  • ボタンをクリックすることで、Myクリップ一覧ページに追加・削除できます。追加した記事は、「Myクリップ」メニューからいつでも読むことができます。なお、ご利用にはBiz Clipに会員登録(無料)してログインする必要があります。

 実はデザイン・シンキングは新しいキーワードではない。約10年前から提唱されてきたが、2014年になって日本企業でも本格的に取り組み始めた。各社がデザイン・シンキングに注目した理由は、これまでの手法では限界を感じているからだろう。既存の技術やマーケットの延長線で発想しても、もはや新しいものを生み出すことは難しい。デザイン・シンキングで優秀なデザイナーの思考法をベースにしているため、ロジカル・シンキングのような考え方とは異なり、新しい発想を生み出せる可能性が高くなる。

 「米国でもこれまではデザイン・シンキングについて疑問を持つ人もいた。しかし今では、デザイン・シンキングをやるかやらないかを議論する段階ではなく、デザイン・シンキングをいつやるのかといったフェーズに移ってきている。それだけ米国企業の経営者にも認知されている」とデザイン・シンキングの本場といえる米スタンフォード大学d.schoolで教えるトーマス・ボス フェローシップ・ディレクターは言う。

プロジェクトがとん挫する理由

 日本でも最近は取引先や顧客企業と共同でデザイン・シンキングのワークショップを行い、相手のニーズを把握しながら新たなソリューション開発に結び付けようとする企業が増えた。いわばBtoBとしてデザイン・シンキングを生かすわけだ。

 とはいえ、実際はそう簡単ではない。ある大手製造業がデザイン・シンキングの手法を活用し、今までにない商品を開発しようとした。生活者の使い勝手を最大限に考え、インタビューやプロトタイピングを繰り返し、新たな外観を備えた商品を企画したはずだった。ところが生産部門がプロジェクトに参加すると、流れが一変した。新たな外観を作るために新しい金型を用意しなければならず、今まで以上にコストがかかると反対の声を上げたからだ。社内で議論の末、結局は外観のほとんどを既存の金型を流用して生産。生活者の使い勝手を考えた商品の魅力が、大幅に薄れてしまった。

 ある大手流通会社もデザイン・シンキングで新しいサービスを開発。生活者の意見を取り入れ、他社にないサービスとして売り出そうとした。しかし販売直前で、とん挫してしまった。「どれだけ売れるのか」と販売部門から疑問が出て、ストップがかかったからだ。生活者の声をベースにしたサービスだけに、企画担当者には売れるという自信があった。だが新しいサービスのため、明確な市場予測を示すことができなかったという。

既存のやり方との間にジレンマ…

続きを読むにはログインが必要です

\ かんたん入力で登録完了 /

会員登録3つのメリット!!

  • 最新記事をメールでお知らせ!
  • すべての記事を最後まで読める!
  • ビジネステンプレートを無料ダウンロード!

執筆=日経デザイン編集部 大山 繁樹

【T】

「スキルアップ」人気記事ランキング

連載バックナンバー

ビジネス課題を創造的に解決するデザイン・シンキング

オンラインセミナー動画

  • 新着記事

配信日時

2024年11月27日(水)①14時00分〜15時00分 ②18時00分~19時00分

セキュリティ関連

【日本ハッカー協会登壇】攻撃者の視点で語る、サイバー攻撃のトレンドと対策

配信期間

2024年10月24日(木)~2024年11月29日(金) 

セキュリティ関連

セキュリティコンサルタントが解説!いま企業がとるべきサイバー攻撃対策とは