ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2018.04.03
実はデザイン・シンキングは新しいキーワードではない。約10年前から提唱されてきたが、2014年になって日本企業でも本格的に取り組み始めた。各社がデザイン・シンキングに注目した理由は、これまでの手法では限界を感じているからだろう。既存の技術やマーケットの延長線で発想しても、もはや新しいものを生み出すことは難しい。デザイン・シンキングで優秀なデザイナーの思考法をベースにしているため、ロジカル・シンキングのような考え方とは異なり、新しい発想を生み出せる可能性が高くなる。
「米国でもこれまではデザイン・シンキングについて疑問を持つ人もいた。しかし今では、デザイン・シンキングをやるかやらないかを議論する段階ではなく、デザイン・シンキングをいつやるのかといったフェーズに移ってきている。それだけ米国企業の経営者にも認知されている」とデザイン・シンキングの本場といえる米スタンフォード大学d.schoolで教えるトーマス・ボス フェローシップ・ディレクターは言う。
日本でも最近は取引先や顧客企業と共同でデザイン・シンキングのワークショップを行い、相手のニーズを把握しながら新たなソリューション開発に結び付けようとする企業が増えた。いわばBtoBとしてデザイン・シンキングを生かすわけだ。
とはいえ、実際はそう簡単ではない。ある大手製造業がデザイン・シンキングの手法を活用し、今までにない商品を開発しようとした。生活者の使い勝手を最大限に考え、インタビューやプロトタイピングを繰り返し、新たな外観を備えた商品を企画したはずだった。ところが生産部門がプロジェクトに参加すると、流れが一変した。新たな外観を作るために新しい金型を用意しなければならず、今まで以上にコストがかかると反対の声を上げたからだ。社内で議論の末、結局は外観のほとんどを既存の金型を流用して生産。生活者の使い勝手を考えた商品の魅力が、大幅に薄れてしまった。
ある大手流通会社もデザイン・シンキングで新しいサービスを開発。生活者の意見を取り入れ、他社にないサービスとして売り出そうとした。しかし販売直前で、とん挫してしまった。「どれだけ売れるのか」と販売部門から疑問が出て、ストップがかかったからだ。生活者の声をベースにしたサービスだけに、企画担当者には売れるという自信があった。だが新しいサービスのため、明確な市場予測を示すことができなかったという。
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執筆=日経デザイン編集部 大山 繁樹
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ビジネス課題を創造的に解決するデザイン・シンキング