業務中に突然、パソコンが固まって動かなくなった。こんな経験をした人は多いだろう。企業では生産性向上や業務効率化に役立つ多種多様な業務アプリケーション、業務システムを導入。パソコンのメモリーやディスク容量の消費が増える一方、パソコンにはあまりコストをかけられず、スペックの低いパソコンを使い続けるケースも見受けられる。その結果、パソコンがフリーズなどの不具合を起こし、かえって生産性が低下するといった事態を招きかねないのだ。
ディスク容量不足でOSの更新ができない
フリーズは「凍結」を意味する英語だが、パソコンのフリーズもまさにマウスやキーボードの操作や画面が氷ついたように固まって動作できなくなる状態を指す。特定のプログラムにCPUが専有されることでフリーズを起こすこともある。しばらくするとメモリー処理が終了して解消することもあるが、強制的に再起動する方法もある。ただし、作業中のファイルが保存されずに消えてしまう恐れもあるので注意が必要だ。
フリーズしないまでも、スペックの低いパソコンを使い続けていると、起動に時間がかかる、操作の反応が遅い、基本ソフト(OS)やウイルス対策ソフトなどの更新に時間がかかるなどの不具合が起こることもある。Windowsパソコンのユーザーは、マイクロソフト社が定期的に実施するOSの更新(Windows Update)を行う。この更新はセキュリティの強化やプログラムの不具合などを修正するもので必須の作業となる。…
ところが、プログラムなどを保存する記憶領域であるハードディスクの容量不足で更新ができないこともある。Windows10の場合、32ビット版OSの更新では16GB(ギガバイト)以上、64ビット版OSの更新では20GB以上の空き容量が必要とされる。パソコンのハードディスクの容量が小さい場合、USBなどの記憶装置で代替することも可能だ。
空き容量不足はOSの更新だけでなく、パソコン動作の遅延要因にもなる。ダウンロードされたプログラムファイルやインターネット一時ファイルなどが保存されるため、定期的に不要なファイルを削除(クリーンアップ)してディスクの空き容量を増やす作業が必要だ。また、パソコンに製品の写真や現場で撮影した写真や動画を保存している人もいるかもしれない。写真や動画ファイルは多くのディスク容量を消費するので、外付けのHDDやUSBメモリー、SDカードなどへ移動する方法もある。
ディスク容量などパソコンの状況を見える化
パソコンを安定的かつ快適に利用するには、可能であれば高性能な最新CPUや大容量のメモリー、記憶装置の高速処理が可能なSSDなどを搭載したパソコンの導入が望ましい。だが、IT予算の優先度の兼ね合いから最新パソコンの導入が難しいこともある。既存パソコンを上手に活用しつつ、業務に支障を来さないような工夫が必要だ。例えば、ユーザー自身がパソコンのディスク空き容量を調べ、不要なファイルを削除することもできるのだが、面倒なことはしたくないという人もいるかもしれない。
そこでパソコンごとのOSバージョンやウイルス対策ソフトの有無、メモリーの容量、ディスクの空き容量などIT資産管理を見える化し、状況をリポートしてくれるサービスもある。従業員のパソコンに専用ソフトをインストールし、サービス事業者がパソコンの情報を収集、分析、リポートする。IT管理者側からは、専用のWebサイトで最新のOSやセキュリティパッチが未対応のパソコンなどを把握することにより、セキュリティリスクが潜んでいないかを確認できる。また、パソコンごとのメモリーの使用状況やディスクの空き容量を確認することで、パソコンの動作が遅くなるといった不具合が発生する前にユーザーに対処を促すことも可能だ。
データ保管先をクラウドに代えて新たなIT活用
パソコンのディスク容量に起因する問題を回避するには、データをパソコンではなく、クラウドに保管する方法もある。社内に設置するファイルサーバーはサーバーの初期投資や保守などにコストがかかるが、クラウドストレージであればインターネット接続環境があれば初期投資を抑えて利用を開始できる。
また、データの暗号化や多要素認証、アクセス権の設定など強固なセキュリティ対策や、自動バックアップなどの機能を備えるサービスもある。使い慣れたパソコンと同様に、ファイルをドラッグ&ドロップの簡単な操作で保管できる。個人用フォルダのほか、社内共有フォルダ、外部共有フォルダを使い分けることで取引先などとのデータ共有が簡単に行えるなどの利点もある。クラウドストレージの活用で、パソコンのディスク容量不足を回避するとともに、社内で利用するパソコンの他、外出先からスマートフォンやタブレット端末を利用してファイルを閲覧するなど業務の進め方を変えられ、新たなIT活用を促進することにつながっていくだろう。
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