ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2018.11.28
正社員採用、終身雇用といった日本的経営の慣習が変化している。総務省が行った2017年の労働力調査によれば、今や有期契約社員、派遣社員、パートタイマーなどの非正規労働者が雇用者全体の4割近くに達するようになった。
しかし、こうした非正規労働者と正社員が同等の待遇を受けていないケースも珍しくない。2019年4月から順次施行される働き方改革関連法(2018年6月29日成立)では「同一労働同一賃金」を柱の1つとする。同一の労働を行えば、同一の賃金が支払われる原則を徹底する方針だ。不合理な待遇格差の解消を企業に義務付け、非正規労働者の待遇改善をめざす。
まず、簡単に「同一労働同一賃金」を実現する具体的な制度について見る。働き方改革関連法により、(1)から(3)の整備がなされた。
(1)不合理な待遇差をなくすための整備
同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに、不合理な待遇差を設けることが禁止される。どのような待遇差が不合理に当たるかについては、ガイドラインを策定して、明確にする。
(2)労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
非正規雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」など、自身の待遇について説明を求めることができる。事業主は、非正規雇用労働者から求めがあった場合は、説明をしなければならない。
(3)行政による事業主への助言・指導などや裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備
都道府県労働局において、無料・非公開の紛争解決手続を行う。「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由」に関する説明についても、行政ADRの対象となる。
これらの整備により、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保を実現し、「『非正規』という言葉をこの国から一掃する」(2018年通常国会冒頭の安倍総理による施政方針演説)というのが、改正の狙いである。
以下では、(1)に関して、最高裁判決と「同一労働同一賃金ガイドライン案」について簡単に見ておく。
働き方改革関連法が成立する直前の2018年6月1日、同一労働同一賃金に関して最高裁が2つの判決を出した。振り返っておこう。
1件目は、60歳で定年退職して再雇用されたトラックドライバーの例だ。給与額減少を不服とし、同等の賃金を要求した。職務内容は退職前と同じだった。最高裁は、精勤手当と超過手当(時間外手当)に関して、不合理な待遇差を禁じた労働契約法第20条に違反しているとの判断を示した(長澤運輸事件)。
もう1件は、有期契約社員のドライバーが、正社員と同様の待遇を求めたもの。正社員との待遇格差が、労働契約法20条に違反するという理由だ。最高裁は無事故手当、作業手当、皆勤手当などで差をつけるのは違反と判断。原告側の主張を大幅に認めた(ハマキョウレックス事件)。
裁判になると、原告となる労働者だけでなく、会社側も多大な労力・時間・費用を費やす。働き方改革関連法では、同じ業務や成果には平等に賃金を支払うよう求めている。法に触れる待遇格差を設け、裁判になる事態は避けなければならない。
どのような待遇にすれば、同一労働同一賃金といえるのか。前述の2つの裁判でも一審と控訴審、最高裁判決の間に違いが出ている。判断は容易ではない。
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