ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2017.07.19
「聞いたことはあるけれどよく分からない」「IT関連の用語には気後れする」――。そんなIT初心者の社長も理解できるように、世間を騒がすIT用語を超絶簡単に解説する。今回のテーマは「ファイアウォール」だ。
「社長、ついに身代金を取るウイルスが出てきました。ウチもセキュリティーを強化しましょう」(総務兼IT担当者)
「身代金? 誰が誘拐されたんだ? 払うお金なんかないぞ」(社長)
「パソコンがロックされて使えなくなるんですよ。解除するために身代金を要求するウイルスです。ファイアウォールの設定で、一時的に攻撃をブロックできるみたいですよ」
「ファイアウォール!?そんなの危ないじゃないか」
「社長、そうなんです。危ないんです」
「会社の壁を燃やす気か!!」
仕事でインターネットを使う以上、犯罪者がインターネットを悪用して社内の機密情報を盗み取ったり、システムを破壊したりするリスクがあります。そうした不正侵入や攻撃から社内ネットワークを守るのがファイアウォールです。
Q ファイアウォールとはどんなものですか
ファイアウォールは、インターネットと社内ネットワークとの接続口に設置して、ウイルスなどの攻撃をブロックするシステムのことです。日本語にすると、火事を防ぐ“防火壁”の意味になります。攻撃を火に例え、防火壁として攻撃をブロックします。
ファイアウォールは、不正と判断したデータは通過を遮断し、許可されたデータのみ社内ネットワークへ通過させます。つまり、ウイルスはブロックして、安全な通信は通すのです。
Q ファイアウォールにはどんなタイプがありますか
ファイアウォール製品には、大きく分けて「ハードウエアタイプの専用機」「ファイアウォール機能を搭載したルーター(通信機器)」「ソフトウエアタイプのパーソナルファイアウォール」があります。
専用機は高価ですが、その分高機能です。ルーターは現在使用しているものに、すでにファイアウォール機能が付いているかもしれません。確認してみてください。ソフトウエアタイプのパーソナルファイアウォールは、ウイルス対策ソフトの一機能になっているケースが多いようです。例えば、営業担当者などが社外でパソコンを利用する場合、パーソナルファイアウォール機能を備えたウイルス対策ソフトを導入しておけば、外出先でもインターネット利用時の不正侵入とウイルス感染を防げます。
ファイアウォール製品を導入する際は、それぞれのコストと機能、運用の手間をITサービス会社の担当者によく聞いてみてください。高ければよい、安ければよいというわけではありません。後述しますが、セキュリティー対策は総合的なものだからです。自社にすでに導入されているセキュリティー製品と組み合わせて、総合的な対策ができるものを選びましょう。
Q 導入すれば社内ネットワークをすべて守れますか
残念ながら、ファイアウォールだけで社内ネットワークをすべて守れるわけではありません。現在のセキュリティー対策は、「多層防御」が推奨されています。1つめの層、2つめの層、3つめの層……と、何層も対策を施して、攻撃を防ぐのです。
ファイアウォールは、インターネット経由の攻撃を防ぐ1つめの層と考えてください。1つめのファイアウォールをすり抜けたウイルスは、2つめの層のウイルス対策ソフトでブロックします。前述したパーソナルファイアウォール機能を備えたウイルス対策ソフトとは、1つめと2つめの対策を合体させたものです。それでもウイルスがすり抜けるケースもあります。3つめの層の対策として、重要データを暗号化しておきます(※これらは一例であり、万全の対策ではありません)。
攻撃を防ぐためには、このように何段階ものセキュリティー対策が不可欠です。ファイアウォール製品の導入は、その1番目の対策といえます。
「これまでサイバー攻撃は“対岸の火事”だと思っていたけれど、人ごとではない気がしてきた。ウチも“防火壁”が大丈夫かどうか、早速、見直すことにしよう!」(社長)
「さすが社長、理解が早いです。それではVPNも一緒に導入しませんか」(総務兼IT担当者)
「VPN……」
(第2回に続く)
執筆=山崎 俊明
【MT】
審査 24-S706
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