聞いたことはあるけれど、いまさら社員に聞けないのがITの用語だ。IT初心者の社長にも理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回はきっと聞いたことがある「eラーニング」(イーラーニング)だ。
「社長、うちの社員研修にeラーニングを取り入れませんか」(総務兼IT担当者)
「何だ、急に。君もランニングに目覚めたのか。ランニングなら家内もやっているぞ。姿勢が良くなるから一緒に走らないかと誘われて迷惑しておる」
「違いますよ。走るランニングじゃなくて、ラーニング。勉強のことですよ」
「なーんだ、勉強か。社員の能力が高まるなら、イーに決まっているじゃないか」
「eラーニングのe(イー)は、電子機器やネットワークを使うという意味です。うちもやっている電子商取引もeコマースっていうじゃないですか」
「そんなうんちくはどうでもイーから、何の勉強になるんだ」
いつでも、どこでも好きなときに学習
現在のeラーニングの主流は、スマホやタブレット、パソコンを使った学習です。集合研修と違い、インターネット環境があれば、社員はいつでもどこでも好きな時間に学習できるメリットがあります。半面、社員の学習意欲をいかに維持するか、座学では学ぶのが難しい実体験をどう取り入れるか、工夫が必要です。
Q eラーニングはどんな学習に利用できますか…
自社製品・サービスや業務知識の向上、営業のスキルアップ、コンプライアンスやセキュリティ教育など、さまざまな目的で利用できます。集合研修のために業務時間を調整したり、研修会場に足を運んだりする必要がありません。社員の都合に合わせて何度でも学習できるのが大きなメリットです。
Q eラーニングの特徴を教えてください
最近の教材はテキストだけでなく動画も使い、学びやすい工夫をしているものがほとんどです。受講後に理解度を確かめるためのテストを用意する教材もあります。理解するまで、何度も繰り返し学習できるのが特徴です。また、社員が受講したかどうか、管理者が確認できる仕組みも備えます。eラーニングの教材作成から実施、受講管理が行えるクラウドサービスも提供されています。
また、集合研修の代わりにeラーニングを導入すれば、大人数の受講者を収容する会場を確保しなくてよいので、コスト削減にもつながります。
Q eラーニングに注意点はありますか
いつでも受講できるといっても、やはり期限は設けなければなりません。コンプライアンスやセキュリティ教育などは、全社員に受講してもらう仕掛けが必要です。社員のパソコンに受講を促すメッセージを送るなど、リマインドが大切になるでしょう。
また、集合研修と異なり個々人で受講するため、自ら学習を続けるモチベーションが欠かせません。学び続けようとする姿勢をいかに維持させられるかがポイントになります。たまには、受講する社員と講師が顔を合わせ、疑問点を聞き出したり、情報交換したりする機会を設ける方法もあります。
座学のeラーニングだけでは理解が難しかったり、自分事として認識しにくかったりする分野は、実体験を組み合わせる方法も有効です。例えば、企業の脅威となるネット炎上に関する体験プログラムを社員研修に用意する例もあります。
やはりコストが気になる
「社長、eラーニングのメリットを分かっていただけましたか。研修会場のコストも節約できますし、準備をする私の負担も軽くなります。ぜひ、考えてください」(総務兼IT担当者)
「ふーむ、コストがイーなら、考えてみようか」
「すぐに調べます!」
「ランニングコストが重要であるぞ。なんせラーニングだからね」