ネットや新聞の記事で見たことはあるけれど、何のことか人には聞きにくいIT用語。そんなIT初心者の社長にも理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回はきっと目にしたことがある「QR(キューアール)コード」だ。
「社長、取引先の新人と名刺交換したら、QRコードが印刷されていたんです。うちの名刺にもQRコードを入れませんか」(総務兼IT担当者)
「コード?電源コードと名刺に何の関係があるんだ。コードが必要なら倉庫にあるぞ」(社長)
「電源コードじゃありませんよ。正方形のモザイク模様のような図形です。社長も他社のチラシなんかで見ていると思いますよ」
「コードにモザイク模様、何のことかよく分からん」
「最近では新聞の紙面にもQRコードが入っています。スマホをかざすと、記事の関連動画が見られたりするんです」
「新聞は隅から隅まで読んでおる。コードのモザイク模様なんか載ってないぞ」
情報発信やキャッシュレス決済などで広がるQRコード
QRコードはもともと、日本の自動車部品メーカーが自社の部品管理のために開発したものといわれています。現在は国際規格化されており、広く活用されています。例えば、商品カタログ上のQRコードをカメラ付きスマホやタブレットで読み取ると、その商品を販売している店舗一覧の情報が見られるといった活用方法です。最近ではキャッシュレス決済にも利用されており、QRコードの適用範囲が広がっています。
Q QRコードのメリットを教えてください…
名刺に、会社のホームページのURLアドレスを記載するのは一般的です。しかし、URLをスマホやタブレットで入力するには手間がかかります。入力ミスもあり得ます。また、新製品などの情報を載せたいと思っても、スペースの限られた名刺では詳細情報を入れられません。期間がたてば名刺に印刷された情報が古くなる可能性もあります。
QRコードが印刷された名刺やチラシを、日常的に見かけるようになりました。QRコードを活用すれば、スマホやタブレットのカメラで読み取るだけで、その会社のホームページにアクセスしたり、商品の最新情報をWebサイトで見たりできます。名刺のほか、商品カタログやポスター、チラシなど、さまざまな媒体にQRコードを印刷することで、Webサイトにアクセスしてきた人にクーポンを発行して来店や商品購入を促す販売戦略も可能です。
Q QRコードでキャッシュレス決済ができると聞きました
外国人旅行客が訪れる店舗や飲食店、宿泊施設などではキャッシュレス決済が不可欠になっています。クレジットカードや電子マネーなどに加え、QRコードを用いた「〇〇ペイ」といったスマホアプリが相次いで提供され、盛んに利用されています。
政府はキャッシュレス決済の施策を進めており、消費税が引き上げられる2019年10月から2020年6月までの9カ月間、キャッシュレス・消費者還元事業を実施します。消費者が中小・小規模の小売店、飲食店でキャッシュレス決済を行った場合、決済金額の一部をポイント還元・割引。また、中小・小規模事業者に対し、QRコードの読み取り装置などキャッシュレス決済に必要な端末機器の導入費用を補助しています。
Q QRコード作成時に気を付ける点はありますか
QRコードは自社で、無料で作成できます。作成を手助けするWebサイトがネット上にあるので、作成方法を確かめてみましょう。作成したら、スマホのカメラなどで読み取れるかテストします。もし読み取れなかったら、QRコードのサイズを大きくするなどして再度テストしましょう。
社長にも好評なQRコード
「社長、QRコードについて便利さを分かっていただけましたか」(総務兼IT担当者)
「わしも、名刺に書かれたホームページのアドレスをいちいち入力するのは面倒だと思っていたんだ。スマホのカメラで読み込むだけなら簡単だし、わが社のホームページへのアクセスも増えるかもしれんな」(社長)
「そうなんです。アクセスが増えて、商品がたくさん売れれば、今度のボーナスもアップ間違いなしです」
「QRコードを名刺に載せてもいないのに、給料の話はまだ早い。急(Q)なコードー(行動)は禁物じゃ」
※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です