知っているつもりでも、改めて社員に聞かれると「それ、何だっけ」となりがちなIT用語。そんなIT初心者の社長にも理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は買い物のたびに目にしている「POSレジ」(ポスレジ)だ。
「社長、うちの商品を扱っている直営店のレジをPOS対応にしませんか」(総務兼IT担当者)
「ポスト?確かに店の郵便物は多いと思うが、さすがに赤い郵便ポストまでは要らんだろ。大体、店にポストを置くっていっても、郵便局から許可は出るのか」(社長)
「そのポストではありませんよ。POSって、販売情報を管理できる仕組みのことですよ。POS対応のレジにすれば、売り上げや在庫なんかも詳しく把握できるし、キャッシュレス対応にもできるんです。直営店の店長からもPOSレジが欲しいって言ってきています」
「今どき店長も奥ゆかしいね。たまにはワシに手紙で伝えたい気持ちがあるんだろう。いつも、やいのやいの言って苦労をかけているからな。手紙で店長の精神的負担が少なくなるなら検討してみようか」
「ですから郵便ポストではないんですって……」
進化するPOSレジ
POSはPoint of Sales(ポイント・オブ・セールス)の略で、「何がいつどこでどれだけ売れたか」を把握する手法です。売り場にPOSレジがあれば、販売データを数字として把握できます。最近のPOSレジは、簡単な操作で売り上げや在庫管理が行えます。販売管理や業務効率化などの観点からも、最新のPOSレジ導入は効果的です。
Q 最新のPOSレジのメリットを教えてください…
旧来の現金を収納するだけのレジの場合、現金の入出金や商品別売り上げの記録は閉店後に店長などの責任者が計算して記帳。在庫を調べて翌日の準備をする必要もありました。
すでに旧来のレジからPOSレジに変更している店舗も多いでしょう。ただ、最新のPOSレジは売り上げや在庫管理などのほか、商品別、時間別の売り上げ分析が可能なタイプもあります。どんな商品が売れているのかデータとして見える化すれば、販売計画の立案に役立てられます。
Q 高機能なPOSレジは価格も高いのでは?
高機能・多機能なPOSレジは価格が高くなりがちです。コストを抑えながら便利な機能を使いたいなら、タブレット型のPOSレジがあります。Wi-Fiやモバイル回線を利用するタブレットと、POS機能を提供するクラウドサービスを組み合わせて、商品の棚卸しや顧客分析まで行えるPOSレジもあります。POSレジに必要な現金を出し入れするキャッシュドロアやレシートを印刷するプリンターなどの周辺機器も用意されています。
Q 軽減税率にも対応できますか
手作業で複数税率を管理するのは至難の業。最新のPOSレジなら、消費税の軽減税率対応も万全です。
さらに、消費税増税後のポイント還元策にも対応できます。カードリーダーとPOSレジを連携させ、クレジットカードや電子マネーによる決済が可能なPOSレジが提供されています。また、インバウンド(訪日外国人旅行客)に対しては、キャッシュレス対応のほか、免税手続きも必要です。免税取引額の計算や購入明細のレシート印刷が可能なPOSレジもあり、免税手続きの業務を効率化できます。
POSレジの価格や機能は千差万別です。価格重視で購入し、後から機能不足とならないよう、専門家の助言を聞いて選択するといいでしょう。
認められて異例の抜てき!?
「社長、POSレジのメリットを理解していただけましたか。もう、郵便ポストと間違えないでくださいね」(総務兼IT担当者)
「そうか、POSレジがあれば、ワシの席でもすぐに直営店の売り上げや在庫が分かるというわけだな」
「POSレジと本社システムをネットワークでつなげば、私がわざわざ直営店まで売り上げ情報の帳票を取りに行く手間もなくなります」
「それはいい。君の業務が少なくなるなら、直営店に行って店長の仕事を手伝ってくれたまえ」
「え、まだPOSレジ導入の仕事がありますし……」
「POSとポスト店長、両方やってくれたまえ」
「そんなあ」