次から次へと出てくるカタカナばかりのIT用語。そんなITが苦手な社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、ITと関係ないようで、実は大いに関係のある「ワーケーション」だ。
「社長、うちもワーケーションをやりませんか。社員のみんなも、仕事のヤル気が出るはずです」(総務兼IT担当者)
「何、パーテーション?新型コロナウイルスの感染防止対策で売れているようだが、うちはすでに使っているだろ」(社長)
「間仕切りのパーテーションじゃありません。ワークとバケーションを組み合わせた造語のワーケーションですよ。海が見えるリゾート地で仕事をしたら、私もきっといいアイデアが浮かぶと思います」
「そんなに海が見たいのか。そういえば海沿いの営業所の成績が悪かったな」
「そうなんですか(嫌な予感……)」
仕事と休暇を両立する新しい働き方
ワーケーションは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語です。コロナ禍でテレワークを導入する企業が広がっています。ワーケーションは自宅ではなく、リゾート地などで休暇を取りながら、仕事をする新しい働き方です。ただ、IT環境が整ったオフィスや自宅と異なり、通信環境やセキュリティ対策に留意する必要があります。
リゾート地などで仕事と休暇を組み合わせる
Q ワーケーションのメリットを教えてください…
リゾート地のホテルや自然環境が豊かな地域の空き家を利用して仕事をします。移動せずに休暇も取れるので、多忙なビジネスマンには「一石二鳥」と言えるかもしれません。仕事に対する社員のモチベーションが上がるだけでなく、優秀な人材の採用や離職率の低下に効果が期待できます。
Q ワーケーション活用に注意点はありますか
テレワークでも問題になりがちな労務管理の難しさがあります。いつ仕事をして、いつ休暇を取っているのかを把握しにくいという問題があります。社内でワーケーションのルールを決めて周知徹底したり、テレワークでも使える勤怠管理ツールを利用したりするとよいでしょう。
Q ワーケーションでのIT環境はどうやって整えればよいですか
リゾートホテルなどから社内へアクセスする際に必要な通信環境とセキュリティ対策の整備が必要です。ホテルのWi-Fiは利用しないほうがよいでしょう。重要な情報をやり取りする場合、安全なVPN(仮想閉域網)の利用や端末のウイルス対策などに留意しなければなりません。
セキュリティ対策として、端末に情報を残さない仕組みのパソコンを利用する方法もあります。滞在場所の通信環境が業務に適しているかどうかを含め、ICTの専門家に相談するとよいでしょう。
ワーケーションの訳
「社長、一石二鳥のワーケーションのメリットを分かっていただけましたか。社長のご実家は確か、海の近くでしたよね。釣りを楽しみながら、仕事もできますよ」(総務兼IT担当者)
「釣りは好きだが、老後の楽しみに取ってあるんだ。君は、ワシを引退させる気か」(社長)
「とんでもありません。まず、社長が率先してワーケーションを活用すれば、社員もやりやすくなりますから」
「それなら、来週海沿いの営業所でワーケーションをやってみてくれ。ワシも行くぞ」
「社長も?」
「君はワーク、ワシはバケーション。2人でワーケーションだ!」
「なるほど、1人はワーク1人はバケーション、2人合わせてワーケーション、って、分けちゃったら意味がないじゃないですか!」
「ワーケーションだけに“ワケあり”に決まっておろう」