横文字にカタカナばかりでなかなか理解できないIT用語。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、聞いたことはなくても、見たことはあるかもしれない「HDMI」(エイチディーエムアイ)だ。
「どうしたんだ、さっきから肩ばかり回してちっとも仕事をしないじゃないか」(社長)
「社長、テレワークで使っているノートパソコンの画面が小さくて疲れるんですよ」(総務兼IT担当者)
「今は会社じゃないか」
「出社しても肩こりが解消しないんです。社員からも同じような意見がたくさん届いています。HDMIケーブルと大型ディスプレーの購入を検討してもいいですか」
「HDL?何で君がわしの善玉コレステロールのこと知っているんだ。人間ドックでも特に問題はないと言われたぞ」
「コレステロールの話ではありません。HDMIは映像と音声をまとめて送れる通信規格のことですよ。社長のお宅でもテレビとビデオをHDMIケーブルでつないでいると思いますよ。昔の規格と違って、HDMIなら映像もきれいに映るんです」
「家内も肩こりで悩んでいたな。肩こりが直るなら考えてみるか」
高解像度の映像が映せるHDMIケーブル
自宅が薄型テレビであれば、ビデオやゲーム機を接続するHDMIケーブルを使っているかもしれません。テレビやビデオのほか、パソコンやディスプレー、プロジェクターなどでHDMIに対応する機器が一般的になりました。HDMIで機器同士をつなげば、高解像度の映像を画面に映せます。ただ、HDMIケーブルにはさまざまな種類があり、用途に応じたタイプを選択する必要があります。
HDMIでノートパソコンとディスプレーを接続
Q HDMIケーブルとアナログケーブルは違うのでしょうか…
HDMIはHigh-Definition Multimedia Interfaceの略で、高解像度・高精細のマルチメディア機器をつなぐインターフェース(接続口)のことです。例えばテレビとビデオを接続する場合、以前は赤・白(音声用)・黄(映像用)の3本のケーブルを束ねたアナログケーブルを使っていました。今はデジタルのHDMIケーブルに対応するテレビやビデオが一般的です。パソコンとディスプレーを接続する場合、いずれの機器もHDMIに対応している必要がありますが、1本のケーブルで高品質な音声と映像を送ることができ、配線もスッキリします。
Q ビジネスでのHDMI活用法を教えてください
ノートパソコンと大型の外部ディスプレーの接続に利用する方法があります。小型ノートパソコンで長時間テレワークをしていて、前かがみの姿勢になり、腰が痛くなったり、肩がこったり、目が疲れやすくなったりした経験がある人もいるでしょう。ノートパソコンの画面を大型ディスプレーに映せば、文字も見やすく、背筋を伸ばして仕事ができます。
また、タブレットやスマホでWeb会議に参加すると、画面に映し出される資料が読みにくいケースがあります。スマホをHDMIケーブルでテレビにつないで、大きな画面で資料を見るといった使い方も可能です。
Q HDMIを選ぶ際の注意点を教えてください
HDMIケーブルは通信速度が異なる複数のタイプがあります。4Kテレビなど高解像度の映像を楽しむ場合、プレミアムタイプと呼ばれるケーブルが適しています。また、デジタルカメラやビデオカメラを接続するミニHDMI(タイプC)、スマホやタブレットを接続するマイクロHDMI(タイプD)、一般的なHDMIをスマホやタブレットに接続する変換アダプターもあります。用途に応じて選択しましょう。HDMIケーブルは家電量販店などで購入できます。
Q テレワーク環境の整備はどうすればよいでしょうか
ノートパソコンと外部ディスプレーをつなぐHDMIケーブルだけでなく、Web会議を快適に行えるネットワーク環境や、重要ファイルのやり取りに欠かせないセキュリティ対策など、テレワークにはさまざまなIT環境の整備が必要です。ITの専門家に相談するといいでしょう。
ケーブルも頭もこんがらがる
「社長、HDMIを何となく理解していただけましたか」(総務兼IT担当者)
「わしも老眼のせいか、ノートパソコンの文字が見にくいと感じていたところなんじゃ。そのケーブルで大型ディスプレーをつなげば、君の業務成績も見やすくなるな」(社長)
「私のことはいいですから、テレワーク中の社員のためにHDMIケーブルとディスプレー購入をお願いします」
「ケーブルだけに頭がこんがらかってきた。いくらかかるか計算できそうにない。この問題は絡まって解けんだろうな」
「社長、購入する気ゼロですね……」