技術革新とともに次々に登場するIT用語。社員に言われても、何のことかよく分からない。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、聞いたことはなくても、もしかしたらすでに使っているかもしれない「SSD」(エスエスディー)だ。
「社長が今使っているノートパソコンが古くなったので、SSD搭載のノートパソコンに買い換えましょう」(総務兼IT担当者)
「何?SS?パソコンにもサイズがあるのか?LLのほうが何となく安心するが、小さいのはいいかもしれん」(社長)
「SとかMとかLとかのサイズではありません。SSD。パソコンに内蔵されている記憶装置のことですよ。データの読み書きが速くなったり、消費電力が少なくなったり、いろいろなメリットがあるんです」
「SSサイズの小さいパソコンが読み書きしてくれるのか。ワシも小さいときからひらがなの読み書きができて、神童といわれたこともあったな」
「確かにSSDは小さいんですが、SSはサイズの略ではないんです。神童なら分かってくれそうなもんだけどなあ……」
手軽になったSSD搭載パソコン
SSD(ソリッドステートドライブ)はフラッシュメモリーと呼ばれる半導体を用いた記憶装置です。SSは決してSSサイズの略ではありません。パソコンの記憶装置は、これまでHDD(ハードディスクドライブ)がおなじみでした。HDDは磁気の駆動装置を利用してデータを記録します。一方、SSDには駆動装置がありません。ソリッドステート(駆動しない固体状態)の記憶装置なのです。近年はSSDの低価格化が進み、薄型ノートパソコンやタブレットなどに搭載されています。
SSDとHDDの違い
※SSDとHDDを比較した表現です。HDDの性能が劣っているわけではありません。
Q SSDのメリットを教えてください…
SSDにはさまざまなメリットがあります。その1つが壊れにくさです。これまでのHDDに比べて壊れにくいのでデータ消失のリスクが小さく、衝撃にも強いとされています。また、データの読み出し・書き込み速度がHDDに比べて速いのもメリットです。HDDからSSDに換えると、パソコンの立ち上がりが速くなるケースもあります。そのほか、発熱が抑えられ消費電力が少なくて済むといった特徴も挙げられます。
近年はSSDの価格が手ごろになり、SSD搭載のパソコンを購入しやすくなっています。
Q SSD搭載パソコンの注意点はありますか
SSDの価格が手ごろになってきたとはいえ、HDDに比べれば価格は割高です。SSD搭載パソコンを選ぶ際、データ容量に注意します。パソコンを動作させるための基本ソフト(OS)や業務アプリケーションなどをインストールする場合、数十GB(ギガバイト)のデータ容量が必要なこともあります。例えばデータ容量が128GBのSSD搭載パソコンの場合、実際にユーザーが利用できるデータ領域はその数十GBの容量を差し引いた分になります。容量が少な過ぎると、パソコンに業務データをほとんど保存できなくなります。
Q SSDの価格はデータ容量に応じて高くなるのでしょうか
その通りです。パソコンのラインアップによってSSDのデータ容量も異なり、256GB、512GBといった大容量のタイプもあります。容量が多くなるほど価格が高くなります。
クラウドサービスを活用すれば、SSDのデータ容量が少なくて済む場合があります。自社の業務で利用するには、どの程度のデータ容量が必要なのか、業務アプリケーションやセキュリティソフトの快適な動作環境、導入後のサポートはどうかを含め、ITの専門家に相談するといいでしょう。
SSDはしっかり導入すべし
「社長、SSDを理解していただけましたか。SSD搭載の薄型ノートパソコンにすれば、持ち運びも便利です」(総務兼IT担当者)
「新しいノートパソコンの使い方が分からないときはどうすればいいんだ」(社長)
「SSDになったからといって、パソコンの使い方が大きく変わるわけではありません。これまで通り、使い方が分からないときは私がサポートしますから、お任せください」
「その大口が一番心配なんじゃ。しっかり(S)、慎重(S)に、導入(D)を検討しよう」
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