ITを活用して販路を拡大したいが、うまい方法が分からない。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回のテーマは、ホームページを活用した見込み顧客獲得手法として注目される「ホワイトペーパー」をご紹介したい。
「社長、競合会社が作成したホワイトペーパーが参考になりそうなので、思わず登録してダウンロードしてしまいました。うちでもやってみませんか」(総務兼IT担当者)
「ホワイトペーパー?知ってるぞ。白い紙のことだろう。なんで競合のA社が紙なんて作っているんだ。うちに業績でかなわないのでついに白旗を上げたか」(社長)
「白旗ではありません。ホワイトペーパーはお客さんに興味を持ってもらうための販促手法として注目されているんです」
「売り上げにつながるなら何でもやるぞ。説明しなさい」
見込み顧客を獲得するための販促手法
ホワイトペーパーはもともと政府や研究機関などが発行する「白書」のこと。IT分野では総務省が毎年発行している「情報通信白書」がおなじみです。IT分野に関心のある人たちに読まれたり、資料作成にデータが引用されたりしています。
こうした公的な白書ではなく、企業の販促活動の一環としてもホワイトペーパーが活用されています。ホワイトペーパーでは自社の商品・サービスが顧客の課題をどう解決するのかといった特長を、調査データなどを交えて客観的に解説します。
Q ホワイトペーパーが企業に注目される理由は何ですか…
世の中にはさまざまな情報があふれています。商品カタログを作成して自社の商品・サービスをホームページで発信しても、その情報が商談や購入に結び付いているのかは分かりません。商品・サービスの特徴などを紹介するカタログと異なり、ホワイトペーパーは白書のように調査・分析データなどを交えながら、自社の商品・サービスが顧客の課題をどのように解決するのかを客観的に解説します。作成したホワイトペーパーをホームページに掲載すれば、商品・サービスの裏付けとなる技術や市場動向に興味を持ってもらえます。
Q ホワイトペーパーの活用例にはどんなものがありますか
セキュリティを例にすると、企業を脅かすサイバー攻撃の最新動向などをホワイトペーパーで解説すれば、企業にサイバー攻撃の注意喚起を促すことができます。業種別では、製造業であれば自社の製品が社会にどう役立っているのかを解説したり、小売業であれば売れている商品のトレンドなどを解説したりする方法もあります。いずれにせよホワイトペーパーを読んでもらうには、自社の宣伝ばかりにならないようにします。
Q ホワイトペーパーを活用するときの注意点はありますか
ホワイトペーパーをダウンロードするときに、氏名や会社名、役職、連絡先などの情報(属性情報といいます)をホームページのフォームに入力してもらいます。属性情報を記入してもいいと思うようなホワイトペーパーの内容にしましょう。
収集した情報を安全に管理することは言うまでもありません。
担当者次第で白紙に
「社長、ホワイトペーパーの意義を分かっていただけましたか。うちもホームページをリニューアルしてホワイトペーパーを販促に使いましょう」(総務兼IT担当者)
「なかなか良さそうだな。誰がペーパーを書くんだ。うちにそんな人材はいるのか」(社長)
「私にお任せください。こう見えても調べたり書いたりするのは得意なんです」
「君が書くのは始末書ばかりじゃないか。君がやると言うなら予算は白紙だ」