会議でもよくITの話が出てくるが、何度説明されてもなかなかなじめないIT用語。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、言葉は知らなくても、日常業務に欠かせない「PBX(ピービーエックス)」だ。
「社長、新年度から社員が増えたのでPBXを見直しましょう」(総務兼IT担当者)
「PBだって。スーパーマーケットのプライベートブランド弁当でも仕入れるのか。安いなら検討するぞ」(社長)
「スーパーマーケットは関係ありません。PBXは会社にある電話交換機です。取引先からは固定電話にかかってくることが多いので、電話機も増やさないと業務に支障がでます」
「電話はコール音1秒で出ると新入社員に教えるのは、君の仕事だったな。1秒とは言わないが1分で説明してくれ」
クラウドなど選択肢が増えるPBX
PBX(Private Branch eXchange)は企業内に設置する電話交換機で、構内交換機とも言います。外線・内線の発着信や転送などを制御する役割を担います。回線にインターネット回線(光回線など)を利用するIP-PBX、クラウド上で機能を実現するクラウドPBXもあり、企業の選択肢が増えています。なお、手軽に利用できる中小規模環境向け交換機はビジネスフォンと呼ばれ、PBXとは区別されます。
Q PBXの見直しが必要な理由は何でしょうか…
取引先から固定電話に掛かってくるケースもまだまだ多いでしょう。ただ、以前と異なり、テレワークが導入されるなど働き方が変わっています。PBXに求められる機能についても、外線・内線の発着信に加え、テレワークや外出中の従業員のスマホに内線通話するなどニーズが変化しています。ワークスタイルの変化に応じたPBXの見直しが必要になっているのです。
Q PBX見直しのポイントは何ですか
利便性とコストの両面から考えます。旧来型のPBXは、電話機の移設・増設に応じて設定や電話配線変更工事が必要になる場合があり、手間とコストがかかっていました。それに対し、インターネット回線を使うIP-PBXであれば、社内ネットワーク(LAN)上にIP電話機を設置。パソコンと同様にLANにつなげば社内のどこでも電話機を利用できます。
また、クラウドPBXは、社内にPBXの設置が不要です。設備・保守コストが削減できますし、拠点の移転・拡大にも柔軟に対応できます。外出中の従業員のスマホに内線通話が可能になるなど、電話の利便性を高められます。
Q PBX検討時の注意点はありますか
IP-PBXやクラウドPBXの導入ではネットワークの見直しが必要になったり、電話機を変更したりする場合があります。それぞれの環境に応じて検討事項は多く、電話とネットワークに精通したITサービス事業者に相談するといいでしょう。
PBX検討の前にすべきこと
「社長、PBXの見直しが必要なことを理解していただけましたか」(総務兼IT担当者)
「ピーピー言うだけでよく分からんかったが、最近は良さそうなものがあるということは分かった。ただ、予算がピーピーでどうにもならん」(社長)
「ピーピーなのは、いつものことです。何か工夫を考えましょう」
「腹が減っては考えもまとまらん。まずは、ワシの好きなPBのXO醤(じゃん)炒め弁当を食べながら考えよう」
「(食べて忘れる腹づもりだな……)」