略語が多くて、何のことか想像もつかないIT用語。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回はインターネットを使うなら、きっと見たり、聞いたりしたことがある「bps」(ビーピーエス)だ。
「社長、オフィスのWi-Fiの通信速度が低下しているようなので、bpsをチェックしてみますね」(総務兼IT担当者)
「BPSだって?また、新しいアイドルグループが出たのか。どんな歌を歌っているんだ。孫に教えないと」(社長)
「アイドルではありません。bpsはネットワークの通信速度を表す略語です。速度が遅くなると仕事にも支障が出るんです」
「速度と仕事がどう関係するのか、ワシにも分かるように説明しなさい」
数字が大きくなるほど速くなるbps
bpsは「bits per second」の略で、日本語ではビット/秒と表記します。1秒間にどれだけの情報量(ビット数)を送受信できるか、通信速度を表す単位として使われます。例えば、「インターネット回線の通信速度は最大1Gbps」などのように表記します。
ちなみに、1bpsの1000倍が1K(キロ)bps、1Kbpsの1000倍が1M(メガ)bps、1Mbpsの1000倍が1G(ギガ)bpsです。数字が大きくなるほど1秒間にやり取りできる情報量が多くなり、通信速度が速くなります。
Q bpsが注目される理由は何ですか…
昔と比べ業務でやり取りするデータが大容量になっており、高速ネットワークの活用が業務効率を左右するようになっているからです。例えば、オフィスのLANの通信速度が速くなれば社内システムにアクセスした際の応答時間もスピーディーになることが期待できます(応答時間はネットワークだけでなく、サーバーなどの性能にもよります)。
また、インターネット接続サービスの通信速度が速くなれば、オンライン会議やクラウドサービスを快適に利用できるようになります。
Q bpsはどのように計測するのですか
利用しているインターネット回線の速度を計測するさまざまなサービスがネット上で無償公開されています。1Gbpsといった高速なインターネット接続サービスを利用しているオフィスも多いと思いますが、この速度は技術規格上の速度です。端末の利用環境やインターネット回線の混雑状況などによって速度(bps)が低下することもあります。
Q Wi-Fiの通信速度も高速化が進んでいると聞きました
高速無線通信規格に対応する「Wi-Fi6」は最大通信速度が9.6Gbps(理論値)となっており、オフィスで多数の端末の同時接続が可能です。ただ、Wi-Fiを快適に利用するには事前調査が必要です。オフィスの広さや利用者数に応じて無線アクセスポイントを複数台、適切に設置しなければ、通信速度が低下する可能性もあります。また、不正利用を防ぐセキュリティ対策も重要です。ネットワークに精通したITサービス事業者に相談するといいでしょう。
bpsが上がればボーナスも上がる!?
「社長、bpsのことを分かっていただけましたか。bpsの数字が下がるのは、業務効率低下のSOSサインなんです」(総務兼IT担当者)
「スピードが大切なことは分かるが、遅くなったとかなんとか言って、新製品に買い換えたいだけじゃないのか」(社長)
「人聞きが悪いことを言わないでください。bpsの数字が上がれば仕事もはかどります。ついでにボーナスも上がればうれしい……」
「1Mbpsは1Kbpsの1000倍だったな。となると、1bpsの100万倍の通信速度か。うん、君の仕事の効率が100万倍上がったら検討してみよう」
「こんなときだけ数字の理解が早い……」