IT用語で多い3文字略語だが、見ただけでは何のことかさっぱり分からない。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、業務の在り方を変えるかもしれない、3文字略語のBPO(ビーピーオー)だ。
「社長、経理のAさんが退職するそうです。困りました……。経理業務の一部を『BPO』しませんか」(総務兼IT担当者)
「唐突になんだね。TPO?ワシのビジネススタイルは時間や場所、場面にかかわらず猛烈に仕事をすることなんじゃ。何で経理と関係があるんだ」(社長)
「TPOではなく、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)です。業務プロセスの一部を社外の専門家に委託するんです。わが社はコア業務に集中できます」
「TPOだけにお値段もTOPクラスなんじゃないか。説明しなさい」
貴重な人材をコア業務に専念
BPOとは自社の業務プロセスを外部の専門事業者に委託(アウトソーシング)すること。業務プロセスの一部をその分野が得意な専門性の高い事業者に任せれば、業務を効率化できます。企業成長の原動力となる貴重な人材を直接部門に集中、コア業務に専念させるといった経営戦略も可能になります。
Q BPOのメリットは何でしょうか…
「餅は餅屋」という言葉もあるように、例えば顧客対応の窓口を専門事業者にアウトソーシングすれば、窓口運営の業務負担やトータルの費用を抑えられる可能性があります。社員が自社の強みとなる商品・サービスの企画・開発や製造・販売などのコア業務に注力できるようになれば、競争力の強化につなげられます。
Q BPO活用の注意点はありますか
コストが一番気になるところだと思いますが、安いからといって飛びつくのは考えものです。情報セキュリティの確保に留意しましょう。個人情報が含まれる人事、お客さま情報を扱う窓口、取引先との入出金情報を扱う経理などの業務では、外部委託事業者との秘密保持契約が不可欠です。信頼性の高い委託事業者の選定を慎重に行います。
Q BPO以外にも業務効率化の方法はありますか
BPOまで大がかりにアウトソーシングをしない方法があります。定型業務を自動化するロボットのRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)活用はその一つとなります。例えば取引先から送られてくる請求書を人手でパソコンに入力する業務をRPAに置き換えることで効率化。入力ミスが減るなど、業務品質の向上も見込めます。RPAはさまざまなツールが提供されています。導入コスト、ランニングコストも多種多様です。自社の業務に合ったツールを選定するため、専門的な知識が豊富なIT事業者に相談するといいでしょう。
ゴルフボールの購入にご注意
「社長、BPOやRPAで業務を効率化できるんです。理解していただけましたか」(総務兼IT担当者)
「経理の業務を効率化するのは大賛成だが、社外で管理されると心配事もあるんじゃ」(社長)
「わかります。取引先とのゴルフコンペがあるからと購入したゴルフボールの領収書をごまかすことができなくなりますね」
「ミスショットしたときにボールがなかなか見つからなくてね……仕方ない。これからはボール(B)を買ったプロセス(P)をオープン(O)にするBPOでいくか……」