トレカやクレカ。昔からちまたにあふれる短縮用語。身近なスマホもそう。何でも短くすればいいというわけではないと思っている、そんなIT初心者の社長にも分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、聞いたことがあるかもしれない「タイパ」だ。
「社長、若手も増えてきましたし、社内の業務連絡はタイパを考えてチャットを導入しませんか。メールよりスピーディーにコミュニケーションできると思います」(総務兼IT担当者)
「タイヤ?社用車のタイヤを交換するのか。わかった。安全運転が第一だからな」(社長)
「タイヤではなく、タイパです。時間当たりのパフォーマンスを高めるという意味です。時間を有効活用できるようなツールを導入すれば、効率的に仕事ができます」
「効率化は大賛成じゃが、コスパとどう違うんだ」
時間対効果を重視するデジタル世代
タイパとはタイム(時間)とパフォーマンス(効果)を組み合わせた造語で、費やした時間に対して得られる効果や満足感などの時間対効果を意味する造語です。コストパフォーマンス(費用対効果)=コスパと似ていますが、タイパでは時間に対する効果を重視するのです。生まれたときからスマホやネットが身近にあるデジタル世代の若者を中心に、タイパを重視するライフスタイルが広がってきたと言われます。
Q タイパの例にはどんなものがありますか…
仕事、勉強、趣味、家事などさまざまな場面でタイパを重視した行動が採られています。例えば、調べ物をする場合はスマホでSNS検索をします。ネット検索よりも簡単に概要を把握できることがあるからです。また、学生がオンライン授業で動画を視聴する際、再生スピードを倍速にして短時間で視聴するといった行動もタイパの一例です。
Q タイパに役立つツールはありますか
いまや一般的になったWeb会議はタイパの1つと言えます。リアル会議と比べると移動時間や交通費を省けます。また、SNSのチャットもタイパを重視したツールと言えます。メールの場合、用件の入力や送受信の操作に手間がかかりますが、チャットであれば家族や友達、同僚たちとグループをつくり、“おしゃべり”の感覚で手軽に用件を伝えられます。
Q チャットを利用する際の留意点はありますか
いくら若手がタイパを重視しているといっても、社内コミュニケーションなど業務でチャットを利用する場合、セキュリティが重要です。例えば、私用目的のチャットのように簡単に友達を登録できるようでは、機密情報の漏えいや誤送信の心配もあります。管理者が許可したユーザーと端末同士でのみやり取りできるといった対策がなされたビジネスチャットもあります。自社に必要な機能やサポート体制など、ITサービス事業者に相談するといいでしょう。
何でも3文字で
「社長、タイパの意味を理解していただけましたか」(総務兼IT担当者)
「何でも3文字の時代だということはわかった。それより、チャットとやらを導入して、ワシもチャント使えるのか心配じゃ」(社長)
「それは私が責任を持ってチャント教えますから安心してください。チャットが使えれば若手社員も喜びますよ」
「よし!君、タコチャでいこう」
「は?」
「タイパもコスパもよいチャットじゃよ」
「(う……その3文字はイタイけど、導入してくれるならいいか……)はい!タコチャでいきましょう!」