やっと覚えたと思ったら、また新しい言葉が出てくるIT用語。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回はちょっと勘違いするかもしれない「クラウドソーシング」だ。
「社長、うちのWebサイトを作り替えたいので、Webデザイナーをクラウドソーシングで探してもいいですか」(総務兼IT担当者)
「クラウドを使ってアウトソーシングする?何か新しいクラウドサービスが出たのか」(社長)
「社長、今日は調子がいいですね。クラウドでも雲(cloud)ではなくて、群衆(crowd)の方です。クラウドソーシングとは、ネット上でスキルのある人に仕事を依頼することです」
「クラウド違いというわけか。具体的にどんなことができるのか詳しく聞こうじゃないか」
必要なときにスポットで仕事を依頼
クラウドソーシングとは、インターネット上で社外の人々に対して仕事をアウトソーシングすることです。多様な分野のプロに対して必要なときにスポットで依頼できるのが特徴です。依頼方法はいくつかありますが、発注者側が依頼したい業務内容をインターネット上で公開し、受注希望者を募るのが一般的です。多くの場合、仕事の受発注にはクラウドソーシングの仲介サイトやアプリが使われます。
クラウドソーシングのおおまかな流れ
Q アウトソーシングとの違いは何ですか。…
アウトソーシングは、事務や軽作業など業務の一部を専門業者に委託することをさします。一方でクラウドソーシングは、専用サイトやSNSなどを通して専門的なスキルを持つ不特定多数の人に依頼します。仕事を引き受けるのはSOHOやフリーランスが多く、Webデザイン会社に発注するよりもコストを抑えられる可能性があります。依頼できる業務はデザインや動画編集、プログラミング、翻訳、経理作業など多岐にわたります。
Q クラウドソーシングが注目される理由は何でしょうか。
市場環境の変化により、発注側の需要と受注側の供給がマッチするようになったことが挙げられます。自社が強みを持つ事業分野に経営資源(ヒト、モノ、カネ)を集中させ、専門分野以外の仕事は外注してプロに任せたいと考える企業が増えています。一方、近年はテレワークの普及によって育児や介護と仕事の両立がしやくなりました。自分のスキルを生かしてフリーランスとして活動したり、副業を始めたりと、活躍の幅が広がっています。
Q クラウドソーシングを利用する際の注意点はありますか。
フリーランスや小規模な会社に仕事を任せる場合、スキルによっては成果物の品質や納期に満足できないときがあるかもしれません。専用サイトで発注する場合、発注前に受注者の実績や評価を確かめておくのがよいでしょう。
また、動画やWebコンテンツなどの成果物をやり取りする場合、データ量が大きいとメールでは送受信ができないことがあります。社外の人と大容量ファイルをやり取りするには、クラウドストレージを活用するのがおすすめです。アクセス権設定やダウンロード制限などの機能を活用すれば、安心してデータ共有が可能です。どんなサービスが自社に適しているのかIT事業者に相談するといいでしょう。
「社長、クラウドソーシングの意味、分かっていただけましたか。よろしければ承認をお願いします」(総務兼IT担当者)
「確かに、Webの仕事は専門家に任せないといけないな。この調子で君の仕事もクラウドソーシングできないものかね」(社長)
「私の仕事で負荷が高いのは社長のお相手ですので、外部に任せられればだいぶ楽になると思います」
「うむむ、うまいこと雲隠れしおって…誰かに仕事を任せるのは苦労するわい」