金額の計算をする際、分かりやすくするために数値の末尾に「円」を付加したら、計算できなくなった、という経験はないだろうか?これは、「円」という文字列を追加した途端にExcelが数値ではなく文字列と認識してしまうためだ。
分かりやすい表記にしつつ、計算もできるようにExcelの「表示形式」を自在に操れるようになろう。
※当記事では練習用のサンプルファイルがダウンロードできます(ページ下部)
「¥」とカンマで簡単に通貨表示にする
まず、数値が金額であることを分かるようにする1つの方法として「¥」(円マーク)とカンマを付ける方法がある。これが一番簡単だ。
数値が入った売上表、この数値が通貨であると分かるようにするには、数値の入ったセルをドラッグで範囲指定し、「ホーム」タブの「数値」グループで「通貨表示形式」をクリックする。
表示形式を変更したいセルを範囲指定して「通貨表示形式」を選ぶ
ワンクリックで¥とカンマが付加される
ワンクリックで¥マークとカンマが挿入され、ひと目で通貨であるのが分かるようになった。「¥」のほかに「$」(ドル)や「€」(ユーロ)なども選べる。
「$」や「€」なども選べる
元の「数字だけ」の状態に戻すには、「数値の書式」の右横にある「▼」をクリックして「数値」を選べばよい。
「¥」やカンマなしの元の状態に戻したい場合は、表示形式を「数値」に戻す
数値の末尾に「円」を付けても計算できるようにする
次は、「円」を付ける方法。セルを範囲指定した後、「Ctrl」+「1」キーを押して書式設定画面を開く。書式設定画面の開き方はたくさん方法があるので、自分に合った方法を覚えておくとよい。筆者は「Ctrl」+「1」キーがもっとも時短だと思うので、ここではその方法で説明する。
●セルの書式設定の開き方
1)「Ctrl」+「1」キーを押す
2)右クリックのメニューから「セルの書式設定」を選ぶ
3)「ホーム」タブの「数値」グループ右下の「ダイアログボックス起動ツール」をクリックする
4)「数値の書式」の右横にある「▼」をクリックして「その他の表示形式」を選ぶ
開く画面の「分類」で「ユーザー定義」を選び、「種類」の欄に「#,##0“円“」と記述する。そうすると、「264,000円」のように、カンマ付きの円表示になり、計算もできるようになる。「264000」という数値に直接「円」を付加しても文字列になってしまい、計算はできない。計算させたいなら必ず表示形式で変更することを覚えておこう。
「ユーザー定義」を選び、「#,##0“円“」と入力する
この方法は、「2,630個」のように、末尾に「個」や「台」を付けるときにも応用できる。最後の「円」を「個」や「台」に変えればいいだけだ。これら文字列を挿入するときは必ず「“」(ダブルクォーテーション)で囲む。
「#,##0“円“」が覚えられない場合は、「えんひょうじ」と入力したら「#,##0“円“」が候補に出てくるように単語登録しておく手もある。
大きな数字を「千」単位にする…
では今度は、大きな数字を「千円」の単位で表示する方法を見ていこう。表示形式を変更したいセルを選択し、「Ctrl」+「1」キーを押す。「ユーザー定義」を選んで、「#,##0,」と入力する。恐らく、よく使われる形式として「#,##0」という形式は登録されているはずなので、一覧の中からそれを選び、最後に「,」を追加してもよい。上の「サンプル」という欄で、表示例を確認できる。
[caption id="attachment_25897" align="aligncenter" width="539"]
このように桁数が多いと非常に見づらい[/caption] [caption id="attachment_25898" align="aligncenter" width="400"]
「#,##0,」とすると、桁数を減らすことができる[/caption] [caption id="attachment_25899" align="aligncenter" width="476"]
表示を「千」単位にしたら、必ず単位表記も同時に変更しておこう[/caption]
「千」単位が分かれば「百万」単位も簡単
千円単位の場合は、「#,##0」から1つカンマを付けて「#,##0,」とした。これで「,」以下の桁が省略されたということは、百万円単位にするにはもう1つカンマを付けて「#,##0,,」とすればよい。カンマ1つにつき、3桁ずつ省略される。
[caption id="attachment_25900" align="aligncenter" width="568"]
表示形式を「#,##0,,」にする[/caption]
表中の表記は「264」などとなっているが、数式バーには「264000000」と、本来の数字が入力されているのが分かる。なお、表示が省略される桁は四捨五入される。
前後に文字列を付けて「xx万xxxx円」の表記にする
表示形式を駆使すれば、複雑な表記も簡単だ。例えばセールをするときに、セール価格であるのを強調するために、先頭に「セール価格」と付加したい。そんなこともお手のものだ。
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表示形式を変更したいセルを選択して「Ctrl」+「1」キーを押す[/caption] [caption id="attachment_25902" align="aligncenter" width="388"]
「"セール価格 "#万###0"円(税込み)"」と入力[/caption] [caption id="attachment_25903" align="aligncenter" width="568"]
「セール価格 12万8000円」といった表記になる[/caption]
上図のように設定すれば「セール価格 12万8000円(税込み)」といった表記も可能だ。もちろん、扱いは数値なので計算もできる。ここでは、価格が分かりやすいように「セール価格」という文字列と金額の間を少し空けるため「セール価格 」と、最後に半角スペースを挿入している。なおこの場合、30,000円など、千の位が「0」だった場合は「セール価格 12万0000円」となってしまう。それを分かった上で利用しよう。
数値にほかの表記を付加したい場合は、直接入力せず「表示形式」で変更すれば数値のまま扱え、計算もできると覚えておこう。「表示形式」は、熟知すればかなり使える便利な機能なので、ぜひ実務にも活用してほしい。
※第17回は2019年5月13日(月)公開
【ダウンロード】
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