エクセルでは、表やグラフを作成するほかに、関数を使うことでさまざまなことができる。例えば、条件に合う表の一部を自動転記したり、読み仮名を抽出したり、年齢や期日を瞬時に計算したりといったことが可能だ。
ただ、「関数」と聞くと「難しい」と思って避けている人もいるだろう。慣れている人は日本語入力機能をオフにした状態でスラスラと手入力していくが、そんなことができるようになる必要はない。今回は、支援機能をフル活用して簡単に関数を活用する5つの便利なテクニックを紹介しよう。
<その1>簡単な関数はメニューから自動入力する
関数を入力する上で一番簡単なのは、メニューから関数を選んで自動入力する方法だ。最もよく使うと思われる「合計」「平均」「数値の個数」「最大値」「最小値」の5つは、あらかじめメニューとしてセットされている。
合計や平均などを表示したいセルをアクティブにした状態で「ホーム」タブの「編集」グループで「オートSUM」と表示されているメニューの右横▽をクリックし、使用したい関数を選ぶ。今回は得点の平均を計算するので「平均」を選択
関数と数値の範囲が入力されるので、確認して「Enter」キーを押す
指定した範囲にある数値の平均が計算される
合計ならSUM、平均ならAVERAGE、数値の個数ならCOUNTなど、内容に応じた関数を自動的に入力してくれる。ここで選べる5つの関数に関しては、この方法が一番簡単だ。なお、範囲が違っている場合は、計算したい範囲をドラッグで指定し直す。
ちなみに「数式」タブの「関数ライブラリ」には、分類された関数ジャンルが並んでいるが、そもそもどの分類に自分の使いたい関数があるのか推測するのは困難である。したがって関数に慣れ親しんでいる人以外はここから探すことはお勧めしない。
「数式」タブの「関数ライブラリ」は、関数に慣れていないとどれを選択すればいいのかが分かりにくい
<その2>「関数の挿入」画面で利用したい関数を検索する
この方法は最も汎用的で、関数を使い慣れていない人に適している。数式バー左側にある「fx」ボタンを押して「関数の挿入」画面を開き、利用したい関数を検索する。
「fx」ボタンをクリックして「関数の挿入」画面を表示する
「関数の検索」欄に実行したい内容を入力して「検索開始」をクリックする。今回は「切り捨て」と入力
いくつかの候補が出てくるので、それぞれの関数の説明を読んで使いたい関数を探す
「データを取り出す」「転記する」などと入力すると「ほかの言葉を使って質問してください」と表示され、検索できない
複数の候補が出てくるもの、1つに絞られるものなどいろいろある。検索がうまくいかない場合は分類から選んだり、「最近使った関数」の履歴から選択したりすることも可能だ。
「関数の分類」で「最近使った関数」を選択すると、最近使用した関数の名称が出てくる
「関数の挿入」画面で使いたい関数を見つけ出し、「関数の引数」画面でガイドを頼りに引数を入力していくのが、どの関数にも使えてなおかつ支援機能をフル活用できる王道の方法だ。「関数の引数」画面の利用方法については、次項で説明する。
<その3>「関数の引数」画面を利用する
関数が難しいと感じる大部分の要因は引数(ひきすう)だと筆者は思っている。そもそも引数という表現になじみが薄いし、関数によってはこの引数がたくさんあって、どの引数に何を入力すべきかが分かりづらい。しかもカンマを一つ忘れただけでもエラーとなる。こういった難しさを解消してくれるのが「関数の引数」画面だ。
ここでは関数の最大の難敵「IF」をいかに簡単に攻略するかを解説する。IF関数は、「もし~なら○、そうでないなら×」といった、場合分けをする時に用いる。今回は「試験の得点が70点以上なら合格、そうではない場合は不合格と表示する」という内容を作成する。
結果を表示したいセルにカーソルを置いた状態で、「fx」ボタンをクリックして「関数の挿入」を開く。「関数の検索」欄に「もし」と入力すると「IF」が出るので「OK」をクリックする
「関数の引数」画面が表示されるので、「論理式」に「得点が70点以上」を表す「D3>=70」を、「値が真の場合」に「合格」、「値が偽の場合」に「不合格」と入力する
「関数の引数」画面の「合格」に付く「””」は、次の入力欄にカーソルを移した際に自動で付与される。「OK」を押すと「不合格」にも自動的に「””」が付与される。なお、「以上」「以下」は「>=」「<=」で表し、「○○より大きい」「○○より小さい」は「>」「<」で表す。
「関数の引数」画面を閉じると、数式バーには数式が表示され、該当セルには「不合格」と表示される。セルの右下隅をドラッグして下にコピーすれば全員の合否が表示される
手入力の場合は「()」や「””」、「,」を多用して「=IF(D4>=70,”合格”,”不合格”)」のような式を作る必要があるが、関数の引数画面を使うと素早く入力できる上に間違いも少ない。
<その4>うろ覚えの関数を探す…
「個数を数えるからCOUNT関係の関数だけど、正式にはどうだっけ?」といったようなうろ覚えの場合は、知っている部分を入力して候補を表示させ、絞り込んでいく方法(インクリメンタルサーチ。逐次検索とも言う)がおすすめだ。
[caption id="attachment_51392" align="aligncenter" width="200"] 「=count」と入力すると、「COUNT」を含む関数の候補が出てくる。ここでは「DCOUNT」なども表示される[/caption]
[caption id="attachment_51393" align="aligncenter" width="400"] それぞれの関数をクリックすると、その関数についての説明が表示される[/caption]
説明を確認して使用したい関数をダブルクリックする。この場合は「数値の個数を数える」関数が「COUNT」だったのか「COUNTA」だったのかうろ覚えだったことを想定して解説した。このように「何となく知っているが正確には分からない」ときに使うと便利だ。
ちなみに、最初に付ける「=」は全角で入力しても自動的に半角に変換される。関数名は半角で入力してあれば大文字、小文字は問われない。
<その5>ヘルプを利用して関数の役割を確認する
Webなどで調べて使うべき関数は分かったものの、どのように使えばいいかわからないときにはヘルプを利用しよう。
[caption id="attachment_51394" align="aligncenter" width="600"] 「=count(」と始まりのカッコまで入力すると、下にガイドが出るのでその関数をクリックする[/caption]
[caption id="attachment_51395" align="aligncenter" width="600"] 画面右横にヘルプウインドウが開き、その関数の説明が表示される[/caption]
これを読むとどんな時に使う関数で、どのような引数が必要か、などが細かく理解できるだろう。
関数が使えると時間がかかる作業が一気に効率化できたり、自動化することによって人的ミスを減らしたりできる。関数を入力する際には今回紹介した支援機能を駆使して、少しずつ関数に慣れていってほしい。
【ダウンロード】
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※解説用画面はWindows 11上でMicrosoft 365のExcelを使用。一部メニュー名などが異なる場合がある