エクセルでは、1セル1データではないような複雑な表も簡単に作成できる。例えば隣り合ったセルが同じデータの場合、複数のセルを結合する「セルを結合して中央揃え」機能を使って、表をスッキリ見せることができる。ただ、あとで変更が必要になったときは一度結合を解除して修正した後再び結合…などと少々手間がかかる。今回は、設定も修正も素早くできる“裏ワザ”を紹介しよう。
「選択範囲内で中央」機能を使って簡単に見かけ上の結合を
「セルを結合して中央揃え」の代わりに利用するのが「選択範囲内で中央」という機能だ。以下のように、複数のセル(選択するセル)の一番左にデータを入力しておけば、1度の操作で結合しているように見せることが可能だ。
結合したかのように見せたいセルの一番左のセルにだけデータを入力する。例えば14型はモデルAとモデルB共通、Windows 11 Proは全モデル共通のスペック、という意味だ
表のスペック部分をドラッグして選択し、「配置」グループの右下端をクリックする。選択した後「Ctrl」+「1」を押してもよい
「セルの書式設定」画面が開くので、「配置」タブの「横位置」で「選択範囲内で中央」を選ぶ
「セルを結合して中央揃え」したときと同じように、文字が中央揃えになった
「セルを結合して中央揃え」との違いは?
では、「選択範囲内で中央」と「セルを結合して中央揃え」は何が違うのだろうか。まず1つは、設定の簡単さが違う。「選択範囲内で中央」なら上記で説明したように、左端に入力したデータを右方向に見て、次のデータが入っている手前までを中央に揃えてくれる。しかし「セルを結合して中央揃え」で同じことをすると、左上端のデータは縦方向も含めて中央揃えとなってしまう。
表のスペック部分をドラッグして選択し、「セルを結合して中央揃え」をクリックする
上記のようなメッセージが出る。キャンセルすると元に戻るだけなので「OK」を押す
左上のデータだけが残って横方向縦方向すべてを結合して中央揃えとなってしまった
このように、「選択範囲内で中央」と同じ操作をしても、結果は同じにはならない。横方向に結合したいセルだけを選択して「セルを結合して中央揃え」ボタンを押す必要がある。例えばここでは「14型」「Windows 11 Pro」「Core i5-14500」「512GB」の4つを別々に「セルを結合して中央揃え」をする必要があるというわけだ。
もう1つの違いについては次項で説明しよう。
「選択範囲内で中央」を使う大きなメリット…
もう1つの違いは、“編集のしやすさ”だ。今回の例で説明すると、モデルCのOSは「Windows 11 Home」だったとしよう。間違ってすべて「Windows 11 Pro」にしてしまっているので変更したい。そのとき、「セルを結合して中央揃え」の場合いったん結合を解除し、モデルCに文字を入力した後、モデルAとモデルBで結合し直す必要がある。
その点「選択範囲内で中央」の場合は、モデルCに「Windows 11 Home」と入力すれば、「Windows 11 Pro」は自動的にモデルAとモデルBのみに縮小されて中央揃えとなる。
[caption id="attachment_52044" align="aligncenter" width="600"] 「セルを結合して中央揃え」の場合の変更手順。まずは「セルを結合して中央揃え」を解除する[/caption]
[caption id="attachment_52045" align="aligncenter" width="600"] 次に、モデルCの欄に「Windows 11 Home」と入力[/caption]
[caption id="attachment_52046" align="aligncenter" width="600"] 「Windows 11 Pro」をモデルAとモデルBにかかるように結合し直す[/caption]
なお、この方式では「Windows 11 Home」は中央揃えになっていないので個別に中央揃えを施し、モデルBとモデルCの間の罫線も個別に引き直す必要がある。
[caption id="attachment_52047" align="aligncenter" width="600"] 「選択範囲内で中央」の場合の変更手順。モデルCのOSのセル(D3セル)にカーソルを置き、「Windows 11 Home」と入力[/caption]
[caption id="attachment_52049" align="aligncenter" width="600"] 文字を確定すると、罫線も含めてすべて期待通りの結果となる[/caption]
このように「選択範囲内で中央」を設定すると、見かけ上は結合していても、実際はセルの1つ1つを別々に選択できる。データは左端に入力されており、見かけ上、中央揃えになっているだけなので、個別のセルを編集する際も特別な操作はいらない。後から編集する可能性がある場合は「選択範囲内で中央」を使っておくと便利だ。
【ダウンロード】
「時短エクセル」 セル結合よりも使いやすい中央揃えの方法 のお試しファイルのダウンロードはこちらから(Excelファイル)
※解説用画面はWindows 11上でMicrosoft 365のExcelを使用。一部メニュー名などが異なる場合がある