制度活用でお得マネジメント(第11回)決算間際に利用したい、企業も社員もうれしい節税

業務課題 経営全般 資金・経費

公開日:2024.02.28

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 会社経営において賢い節税は、企業体力をつけていくための重要な打ち手となる。利益が見込める事業年度は賢く決算対策をするなどして、節税を考えたい。国は企業の成長を促し、社員の賃金アップにつなげるため、さまざまな税制措置を設けている。自社に合った税制措置をいかに活用していくか、中小企業が使える節税ノウハウを紹介しよう。

3月決算の法人が多い日本

 国税庁によれば日本の全法人数の約20.5%が3月決算で、次いで多いのが9月決算の11%、12月決算9.3%と続いている。

図表1 国税庁「決算期月別法人数」より

 利益が出ている3月決算法人の多くが2月~3月に節税を検討する。ただ、決算期末ギリギリの節税には限りがあるので注意したい。無理に節税をすると税務署に否認されるリスクもある。本当に有効な節税は駆け込みではなかなかできないため、当初から利益金額を予想して対策を立てておく必要がある。

駆け込み節税でできること

 とはいえ、決算期末ギリギリに節税対策をするのが悪いというわけではない。ただ、対策が限られてしまう。最もポピュラーな節税対策が、30万円未満の「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の活用だ。取得価額30万円未満の減価償却資産を購入した場合、一定の要件のもとに一括で経費計上が可能だ。

 例えば、器具および備品、機械・装置などの有形減価償却資産の他、ソフトウエア、特許権、商標権などの無形減価償却資産も対象となる他、所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産や中古資産も対象になる。

 同特例の対象となるのは、中小企業者または農業協同組合などで、青色申告法人(通算法人を除く)のうち、常時使用する従業員の数が500人以下(2020年3月31日までの取得などについては1000人以下)の法人。個人事業主・フリーランスも対象だ。

 注意したいのが、本当に必要なものを前倒しで購入したのであればよいが、不必要なものを無理に購入したのであれば、それは節税対策ではなく、やはり無駄遣いになる。

経営セーフティー共済の活用

 取引先に不測の事態が起きたときに資金的手立てをしてくれる、「中小企業倒産防止共済制度」いわゆる経営セーフティー共済の活用も節税効果が大きい。経営セーフティー共済は、取引先事業者が倒産した際に、連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度だ。共済金の借り入れは無担保・無保証人で受けられる。月額の掛け金は5000円~20万円まで自由に選べ、増額・減額も可能だ。掛け金は全額経費計上でき、1年分の掛け金を前払いすれば、最大で240万円の利益を減らせる。

決算賞与で社員のモチベーションアップ…

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