ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2019.04.08
労働条件の中で、賃金と並んで最も重要な事項の1つが労働時間です。労働時間が長くなればなるほど、労働者が疲弊し、心身の健康を害したり、事故を起こして負傷したり、ということになりかねません。
そこで労働基準法第32条は、労働時間の原則を規定しています(図表1参照)。いわゆるこれが法定労働時間と呼ばれるものです。
始業時刻前に、準備体操や朝礼や会議、あるいは清掃などを義務付けている会社は多いのではないでしょうか。これらの時間について、多くの会社が労働時間ではないと考え、賃金を支払っていないと思います。
労働時間については、次のような判例があります。
「労働基準法第32条に規定された労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、この労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。
そして、労働者が、就業を命じられた業務の準備行為などを事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、またはこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外においてするものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労基法上の労働時間に該当すると解される」
つまり、事例のような準備体操や朝礼は、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価されますから、労働時間に該当することになり、その時間分の賃金を支払わなければならないということになります。
労働基準法は、労働時間について明確に規定していませんが、判例を見ると、「労働時間とは労働者が使用者の指揮監督のもとにある時間」と解釈されています。
つまり、労働者が業務・作業を実際に行っている時間ではなく、使用者の指揮監督下にある時間が労働時間となります。例えば、来客があるかもしれないという理由で事務所を離れられない場合や、電話がかかってくるかもしれないので事務所で食事を取っているような場合などは、労働者は自由に行動することができず、いつ来るか分からない仕事のために待機している状態となります。この時間を「手待ち時間」といい、この「手待ち時間」は、労働基準法に定められた「労働者が使用者の指揮監督のもとにある時間」に該当することとなります。
判例を見ると、「出張の際の往復に要する時間は、労働者が日常出勤に費やす時間と同一性質であると考えられるから、当該所要時間は労働時間に算入されず、したがって、時間外労働の問題は起こり得ないと解するのが相当である」として、移動時間は労働時間には該当しないとしています。これは、休日であるかどうかに関係ありません。
ただし、出張の目的が物品の運搬や、物品の監視などをするように特別の指示を受けているときは、使用者の指揮監督下で労働していると考えられ、これに要する移動時間は、労働時間に該当することとなります。
労働基準法第41条には、労働時間、休憩および休日に関する適用除外について図表2のように規定されています。
この規定に該当するものについては、労働基準法の労働時間、休憩および休日に関する規定が適用除外となるため、時間外労働に対する割増賃金や休日労働に対する割増賃金の支払いが不要となります。
このため、図表2の規定2の「事業の種類にかかわらず監督もしくは管理の地位にある者または機密の事務を取り扱う者」について拡大解釈し、割増賃金を支払っていない場合が多いようです。
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