ケースで学ぶ職場のトラブル防止法(第15回)マリハラ、マタハラをめぐるトラブル事例

トラブル対応

公開日:2019.08.19

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 2014年度に、厚生労働省都道府県労働局雇用均等室に寄せられた男女雇用機会均等法に関する相談のうち、「婚姻、妊娠、出産などを理由とする不利益取り扱い」に関するものは、4028件。全体の16.2%に上ります。

 性的な嫌がらせのことを指す「セクシュアルハラスメント」になぞらえて、婚姻に起因する嫌がらせのことを「マリッジハラスメント(マリハラ)」、妊娠や出産に起因する嫌がらせのことを「マタニティーハラスメント(マタハラ)」などと呼ぶこともあります。

 男女雇用機会均等法第9条では、図表1のように規定しています。

 「うちの会社には、セクハラはもちろん、マリハラやマタハラも存在しない」

 そう考えている皆さんも多いと思います。しかし、「セクハラ」も「マリハラ」も「マタハラ」も、まったくの人ごとではありません。

 例えば、女性社員が結婚の報告に来たときに「結婚したら会社はどうするの?」、妊娠の報告に来たときに「子どもを産んだ後はどうするの?」と聞いていないでしょうか?

 男性社員から結婚などの報告を受けたときに「その後会社はどうするの?」、子どもができたという報告を受けたときに、「その後会社はどうするの?」などとは聞かないと思います。

 つまり、日本には、女性は結婚したら会社を辞めるものだ、あるいは、妊娠・出産した女性は子育てに専念するべきだという誤った潜在意識が残っているようです。言い換えれば、「マリハラ」「マタハラ」の要因は、どこの会社、誰の心の中にも潜在しているということです。

事例1 結婚の報告をしたら退職をほのめかされた

A社の女子社員Bは、直属の上司に結婚をする旨を伝えました。この上司は、Bの結婚を喜んでくれたのですが、「女子は結婚したら家事が忙しくなり、残業をしてもらえなくなるから、できれば退職してほしい」旨を告げられました。Bは、結婚しても会社を退職するつもりはなかったので憤り、労働局雇用均等室に相談に行きました。

 婚姻、妊娠、出産などを理由に、女性社員に退職を迫る行為は決して認められるものではありません。当然、男女雇用機会均等法第9条に違反することとなります。女性社員から婚姻、妊娠、出産などの報告を受けたときは、その取り扱いには十分に配慮する必要があります。

妊娠・出産を理由としない解雇はあり得る…

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