ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2018.12.20
最終版とそれより前の版には、もう1つ大きな違いがあります。実は、いわゆる「特ダネ」が入っているのは基本的には最終版だけなのです。
特ダネとは、他紙には載っていない独自の大ニュースのことで、「特報」「スクープ」とも呼ばれます。他紙では読めない記事ですから、これが入っているかどうかは、その新聞の価値を大きく左右します。ところが、最終版が届かない地域の読者は、こうした記事を少なくとも紙面では読むことができないのです。
これは、13版までにスクープを載せてしまうと、他紙に追いつかれる恐れが生じるからです。つまり、ライバル紙の記者が早く刷られた版を目にして取材を開始し、最終版に同じ内容の記事を載せることでスクープではなくなってしまうリスクがあるのです。
こう聞くと、「ライバルが深夜に刷り上がる早版を見たとしても、そこから取材して記事を書くなんて可能なのだろうか」と思う方も多いでしょう。しかし、他社に特ダネを許すというのは新聞記者にとっては非常に恥となるのです。それを防ぐためには深夜でも死にもの狂いの取材をするのです。私自身、独自につかんだネタを12版に入れたら、それを読んだ他紙が14版に載せていた、という経験を何度かしています。
では、最終版が配られない地域に住む人はどうすればいいのでしょう。もちろん、みんながみんなスクープを必要としているわけではありません。仮に朝刊で読めなくても、少なくとも半日もすればネットや夕刊で読めるわけで、それで十分という人もいるでしょう。
どうしても朝一番で最終版を読みたいという人には、最近ではスマホやタブレット端末で読める電子新聞という選択肢があります。電子新聞は物理的に運ぶ手間がかからないので、必ず最終版を配信するからです。
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執筆=松林 薫
1973年、広島市生まれ。ジャーナリスト。京都大学経済学部、同大学院経済学研究科修了。1999年、日本経済新聞社入社。東京と大阪の経済部で、金融・証券、年金、少子化問題、エネルギー、財界などを担当。経済解説部で「経済教室」や「やさしい経済学」の編集も手がける。2014年に退社。11月に株式会社報道イノベーション研究所を設立。著書に『新聞の正しい読み方』(NTT出版)『迷わず書ける記者式文章術』(慶応義塾大学出版会)。
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情報のプロはこう読む!新聞の正しい読み方