ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2019.11.01
顧問先2200社を抱える会計事務所を率いる公認会計士、古田土満氏が語る小さな企業経営のコツ。その第13回は、もうけ話に対する戒めです。お金は増やすものではなく、ためるものと古田土氏は断言します。そのために古田土氏の事務所が実際にやっていることを具体的に説明します。
大企業では、財務部で財産運用がなされています。サンリオの投資失敗やヤクルト、メリーチョコレートのデリバティブ取引の失敗は、有名な話です。メリーチョコレートの場合は、ロッテに株式を譲渡し、子会社になってしまいました。中小企業では、投機の失敗は命取りになります。
私はお客さまからの投資話に関する相談では、決まってこのように話をしています。「もしこの投資をしなかったことでもうけられなかった悔しさと、この投資をして失敗した場合の後悔とを比較して、経営者としてどちらが正しい選択ですか?」
ほとんどの経営者は、うまいもうけ話に乗るのをとどまってくれます。こういう話は結構銀行から来るものがあって、お客さまが信用してしまいがちなのです。ある経営者は、こう言っていました。「銀行さんが持ってきたうまいもうけ話で、今までうまくいったことは一度もなかった」
お金は、増やすものではなくためるものです。
私は今まで会社で土地・建物を買ったことはなく、株取引もしたことがありません。お客さまとの付き合いで、少人数私募債やその会社の株を買ったことはあります。しかし、本業のみでお金をためることを心掛けてきました。理由は社員の目です。社員がどう思うかということを一番気にしています。
私は、社員から尊敬される経営者になろうと努力しています。社員は使用人ではなく、パートナーだからです。パートナーである社員に堂々と説明できる経営をしなければならないと思っています。社長が株や土地に投資をしてもうけても、喜ぶ社員はほとんどいません。不安になるだけです。
反対に失敗すれば、社員が一生懸命働いて稼いだ利益を全てなくします。それで賞与が減ったりしたら、会社で一番大切な信頼がなくなります。不況や本業の失敗はむしろ全社員の結束力を高め、会社の成長の源になりますが、投資の失敗は命取りになります。
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執筆=古田土 満
法政大学を卒業後、公認会計士試験に合格。監査法人にて会計監査を経験して、1983年に古田土公認会計士・税理士事務所を設立。財務分析、市場分析、資金繰りに至るまで、徹底した分析ツールによって企業の体質改善を実現。中小企業経営者の信頼を得る。
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人気会計士が語る、小さな会社の経営“これだけ”