ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2020.10.02
顧問先2200社を抱える会計事務所を率いる公認会計士、古田土満氏が語る小さな企業の経営のコツ。前回の第23回は、経営者がクレームの大きな原因である「報・連・相不足」を改善するコツを紹介しました。今回は、挨拶・掃除・朝礼の効果について解説します。どれも社員には面倒に感じられることもある挨拶・掃除・朝礼ですが、それぞれが社員のためになると古田土氏は力説します。
社員をしつけるのではなく、会社をしつける。そのための方法として、古田土会計は挨拶・掃除・朝礼を大切にしてきました。実は開業して20年くらいは、「挨拶と掃除ばかり強制して、税法や会計を教えてくれない。こんな会社には勤められない」と言って、多くの社員が辞めていきました。
代わって入ってくるのは、会計の資格も経験もない社員たちです。残っている社員からは「もっと経験者や資格者を入れてください」と言われ続けました。しかし、古田土会計の経営理念や駅前清掃、小中学校でのトイレ清掃、挨拶の話をすると、多くの経験者・資格所有者に入社を断られました。
結果、古田土会計には会計のプロや税法のプロは少ないのですが、営業活動をしなくても口コミでお客さまは増え続け、売り上げは伸び続けてきました。2016年12月期の決算では売上高15億8000万円、社員は181人、2017年の4月には190人になります。
他の会計事務所では、有資格者をたくさんそろえ、勉強会をしっかりやっているところが多いように思います。ただし、1人当たりの粗利益額や1人当たりの経常利益、1人当たりの給与は古田土会計のほうが高いのが現実です。
一般的には、全社員が互いに元気な挨拶をする時間、30分かける朝礼、社内と社外の清掃にかける30分間は、いずれも仕事をしていないのですから、生産性は低くなるはずです。しかし現実は、挨拶・掃除・朝礼をしっかりやっている我が社のほうが生産性は高いのです。
『データの見えざる手』(矢野和男著、草思社)という書籍があります。センサーを用いた、100万人以上の人間行動の研究の成果をまとめたものです。人間は、よくも悪くも、自分の周りの環境要因の変化に慣れてしまいます。この環境要因には、職場の人間関係、人事評価、給与、健康など全てが含まれます。しかし、これらの環境要因を全て合わせても、当人の幸せに対する影響は、全体の10%にすぎないのだそうです。50%は遺伝的に決まっていて、残りの40%は、日々の行動のちょっとした習慣や行動の選択の仕方、特に自分から積極的に行動を起こしたかどうかが重要になります。
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執筆=古田土 満
法政大学を卒業後、公認会計士試験に合格。監査法人にて会計監査を経験して、1983年に古田土公認会計士・税理士事務所を設立。財務分析、市場分析、資金繰りに至るまで、徹底した分析ツールによって企業の体質改善を実現。中小企業経営者の信頼を得る。
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人気会計士が語る、小さな会社の経営“これだけ”