「おはようございます」。エレベーターホールで交わされる一言に、オフィスに活気が戻ってきたと感じる人もいるだろう。そんなすがすがしい気持ちでパソコンを取り出して起動する。「あれっ。パソコンが遅い……。なんで?」。こうなってしまうと、せっかく同僚と交わした心地よいあいさつから一転、気が重くなる。
実はこのオフィスで使っているパソコンはWindows10がリリースされてから購入したもので、かれこれ7~8年がたつ。Windows10のサポート終了は2025年10月なのでまだ使い続けることもできるが、今のパソコンのスペックではソフトウエアの処理に時間がかかり、動作が遅くなっているのだ。
オフィスのパソコンが遅くなる原因は多岐にわたる
オフィス回帰の機運とともにこんな悩みの声も聞かれそうだ。パソコンの動作が遅くなる要因の1つにはディスク容量の問題がある。クリーンアップして不要な一時ファイルなどを削除してアクセスを高速にするなどの対処方法もあるが、起動時に動作するアプリケーションが多いと、パソコンのリソースを消費して動作が重くなることがある。
対処としてはアプリケーションを無効化することや、不要なファイルを探し出して自動的に削除し、ディスク容量を回復するツールの活用が考えられるものの、動作が遅くなる問題は本体に起因することだけではない。例えば、インターネット接続。アクセス回線は一般的に混雑状況によって回線速度が変わるベストエフォート型だ。同時に回線を利用する人が多ければインターネット接続が遅くなることもある。また、社内で利用するWi-Fi環境もパソコンの動作に影響する。Wi-Fiのアクセスポイント(AP)には適正な同時利用台数があり、一斉に多くのユーザーがアクセスすると接続が遅くなるので、全体的な視点からオフィスのIT環境を見直す必要もあるだろう。
パソコンの動作が遅くなると従業員の生産性低下の原因にもなってしまう
導入後の運用・サポートでサービスを選定…
オフィスで利用するアプリケーションの大容量化もパソコンやWi-Fiの快適な利用に影響する。例えばオンライン会議では映像と音声、資料共有などの機能を使うため扱うデータ容量も多くなる。快適なオンライン会議を行うには、スペックの高い最新パソコンの調達を検討したい。
パソコン選定という側面では、本体の機能面だけでなく、導入後の運用とサポートもポイントだ。専任のIT担当者がいない企業の場合、トラブル対応などサポートの優劣でサービスを選ぶ方法もある。例えば、パソコンの月額レンタルによる導入から運用、回収、廃棄まで事業者に任せられるサービスもある。パソコンが故障した場合、新しいパソコンの設置、設定作業を事業者が実施し、故障前のパソコンで利用していたデータは自動的にクラウドに保存されているので、新しいパソコンですぐに業務が行えるようになる。
また、最新OSを搭載するパソコンは新機能も装備され、旧来型のパソコンと操作が異なることもある。新しいクラウド型のオフィスソフトを会社で導入したものの、操作方法が分からずに困った経験を持つ人もいるかもしれない。オフィスで周囲の人に操作方法を教えてもらうにも、忙しそうにしていれば聞きにくい。テレワークであれば聞く人も側にいない。そんなときにIT専門家に遠隔からサポートしてもらえれば、従業員も安心して業務が行える。
Wi-Fiの故障時に機器を交換するサービスも
快適なパソコン利用と密接に関係するのがオフィスのWi-Fi環境だ。Wi-Fiとルーターをセットにした通信機器は家電量販店などでも購入できるが、家庭用とオフィスの業務用では性能面・機能面で異なる。オフィスではユーザーの同時利用台数やセキュリティ対策、導入・設定・サポートなどにポイントを置いて機器・サービスを選びたい。セキュリティ面では、通信の暗号化やWi-Fi接続時のID、パスワード認証、あらかじめ登録した端末のみWi-Fi接続できるMACアドレス登録などといった点に着目することでよりセキュリティを高められるだろう。
Wi-Fiが急に動かなくなったなど、トラブル時には事業者の専任担当者が遠隔からサポートするサービスもある。APの故障時には設定済みの交換用APを会社に郵送。届いたAPの電源とLANケーブルを接続すればすぐに利用できる。パソコンもWi-Fiなどの社内ネットワーク環境も、導入後のスムーズな運用、サポートを視野に入れながらサービスを選定する。これが多様な働き方を踏まえたオフィス回帰の在り方を実現させる第一歩になるだろう。
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