ファクタリングとは、未入金の請求書(売掛債権)をファクタリング会社が買い取る金融サービスのこと。支払期日より前に売掛債権を現金化できるため、万一の際の資金ショートを防ぐ有力な手段となる。
こうした資金調達の手段は、日本においてはこれまでそれほど普及してこなかった。その要因の1つが使い勝手が良くなかったからだ。従来のファクタリングは、ファクタリングサービス会社に赴いて面談を受け、それから審査を経て契約を結ぶ形が主流。面談・審査・契約というプロセスを経るため、資金を手にするまでに時間がかかった。早急に資金が必要だからこそ、ファクタリングを利用したいというニーズに応えられなかったといえる。
それが近年、ファクタリングサービス会社に面談に赴かずに使用できる、インターネットを活用したオンライン型ファクタリングを提供する企業が続々と生まれた。これにより、「新しい資金調達の手段」として注目されるようになった。
さまざまな会社が、オンライン完結型のファクタリングサービスを提供している。インターネットでの申し込みでファクタリングできる点は共通するものの、会社によって取り扱う売掛債権の額やサービス内容に違いがある。オンライン型ファクタリングサービスを提供している企業をいくつか見てみよう。
GMOクリエイターズネットワークは、フリーランス・個人事業主向けのオンライン請求書買い取りサービスとして「FREENANCE(フリーナンス)」を手掛ける。手数料は請求書額面の3%から10%。請求書の振込先としてフリーナンス振込専用口座を作成する。それを使えば使うほど手数料が下がる。2社間ファクタリングなので、請求書の売却については取引先に知らされない。
同じくGMOグループでは、GMOペイメントゲートウェイが法人を対象としたファクタリングサービスを提供している。サービスを利用するには、売掛債権売却企業の決算書2期分と試算表、買い主の審査依頼書、取引基本契約書などを提出する必要がある。手数料は1.0%から10.0%。こちらも2社間ファクタリングだ。
yup(ヤップ)もフリーランス・個人事業主向けの請求書買い取りサービス「yup先払い」を手掛けている。請求書の登録から最短60分で審査完了、最短即日現金化というスピード感がセールスポイント。サービス利用料は申請金額の10%。料金は一律な点が分かりやすい。こちらも2社間ファクタリングとなる。
オンライン完結型のファクタリングについて、いち早くサービス提供を開始したOLTAの「クラウドファクタリング」を例に、具体的な使い方を説明しよう。OLTAがサービスをスタートさせたのは2017年11月。それから約2年で200億円の申し込み実績がある。ファイナンスサービスを利用する場合、サービス提供会社の信用度が気になるが、OLTAには三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行といったメガバンクが出資・融資を行う。
手続きは難しくない。手軽に利用できる
OLTAのサービスを利用するのは、ほとんどが年商1億円未満の中小企業だ。業種は建設業からアパレル、小売業まで、掛け売りが発生する業種全般と幅広い。オンラインで完結するためスピーディーに手続きができ、売掛債権の買い取り額には下限・上限はない。手数料は買い取り債権金額の2〜9%だ。もちろん、2社間ファクタリングである。
利用するには、まずOLTAのWebサイトにアクセスして、アカウントを登録する。「無料登録して申し込む」の表示をクリックし、メールアドレス認証を完了すると「事前審査」に進める。5問程度の簡単な質問に回答した後、アカウント情報の入力と本人確認書類の提出まで完了すればマイページが作成できる。
実際の請求書(売掛債権)の買い取りの申し込み方法は、OLTAのWebサイトからマイページにログインして、「請求書の買取を申し込む」から必要情報を入力して申し込む。申込時の必要書類は「昨年度の決算書」「請求書」「法人口座(直近7カ月分)の入出金明細」といった必要書類が表示されるので、指示に従ってアップロードするだけで申し込み完了だ。初回申込時には必ずOLTAから電話ヒアリングがあるので、それに回答すればあとは24時間以内にメールで審査結果の回答が通知される。買い取りが認められた場合は、マイページ上で契約手続きを行えば、即日OLTAから買い取り資金が振り込まれる流れだ。
支払期日が到来し、売掛先企業から入金があれば、当日中に買い取ってもらった金額と手数料をOLTAの指定口座に振り込んでファクタリングによる資金調達は完結する。このように、OLTAはすべてオンラインで実行できるので、手軽に使えるようになったといえるだろう。
【オンライン型ファクタリングの対象ユーザーや手数料】
働き方改革や疫病まん延による資金繰りの備えとして、OLTAをはじめとしたオンライン型ファクタリングサービスの活用も視野に入れておくとよいだろう。
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