ロングセラー商品に学ぶ、ビジネスの勘所(第6回)オフィスを飛び出したマックスのホッチキス

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公開日:2019.05.28

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 書類をとじるとき、マックスのホッチキスを愛用しているビジネスパーソンは少なくないことでしょう。同社は、国内シェアの75%を持つホッチキスのトップメーカーです。同社のホッチキスは、1946年の発売以来、半世紀以上にわたって愛されているロングセラー商品になっています。

 マックスの創業は、1942年。当時の社名は山田航空工業で、零式艦上戦闘機の尾翼部品の製造から事業をスタートしました。終戦を迎えると「平和産業に徹し、文化に貢献する」との理念を掲げて山田興業へと社名変更。戦闘機部品の製造で培ったプレスの技術を生かし、1946年からホッチキスの製造を開始します。

 当時は、いくつものメーカーがホッチキスを手掛けていました。そうした中でマックスを確固たる存在にしたのが、1952年7月に発売した、ハンディータイプの小型ホッチキス「SYC・10」でした。それまでのホッチキスは紙綴器などとも呼ばれ、机の上に置いて手のひらでレバーを押して使う卓上型でした。大きく重量があり、値段も高く、オフィスで1台購入して共同で使うのが一般的でした。

 「とじるだけの機能に徹し、部品点数を最小限にし、低コストに抑える」をコンセプトに開発された「SYC・10」は、そうしたホッチキスの常識を覆しました。部品点数は8点のみ。手のひらで握る小型サイズで、重さも軽量です。指先の力だけでとじることができるため使いやすく、価格は従来のホッチキスの半値以下という、まさに画期的な商品でした。「SYC・10」によって、オフィスに1台の事務機器だったホッチキスは1人1台の文房具となり、さらに家庭にも普及していきます。

新幹線で見た光景が開発のヒントに …

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執筆=山本 貴也

出版社勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。投資、ビジネス分野を中心に書籍・雑誌・WEBの編集・執筆を手掛け、「日経マネー」「ロイター.co.jp」などのコンテンツ制作に携わる。書籍はビジネス関連を中心に50冊以上を編集、執筆。

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