ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2022.02.28
コンビニエンスストアや自動販売機ではさまざまな種類の飲料が売られていますが、弁当のお供に、外での一服に、気持ちが落ち着くのが日本茶。中でも定番になっているのが、伊藤園の「お~いお茶」です。「お~いお茶」は1989年に発売され、30年以上にわたって愛され続けている緑茶のロングセラーです。
伊藤園の前身であるフロンティア製茶が静岡県静岡市に設立されたのは、1966年のこと。それまで茶葉は量り売りされるものでしたが、フロンティア製茶は茶葉を包装し、パック茶として販売しました。量り売りだと特別な売り場が必要ですが、包装されたパック茶だとスーパーなどで他の食品と同じように扱うことができます。
この戦略が功を奏し、フロンティア製茶は1968年に茶業界で売上高トップの企業となりました。量り売りもパック茶も、売るのは同じ日本茶の茶葉です。しかし、提供形態を変えたことで消費者に広く受け入れられるようになりました。この「提供形態を変える」ということが、後の「お~いお茶」にまでつながっていくのです。
フロンティア製茶は1969年に称号を伊藤園とし、1974年に静岡相良工場を建設。従来の販売会社から日本茶メーカーへと、本格的に移行しました。
メーカーである伊藤園の課題となったのは、日本茶の新しい提供形態への挑戦です。それまで、日本人が飲むものといえば日本茶が一般的でしたが、経済成長とそれに伴うライフスタイルの変化により、さまざまな種類の飲料が飲まれるようになりました。
それに拍車をかけたのが、缶入り飲料の普及です。日本で初めて缶入り飲料が発売されたのは1954年で、明治製菓が発売した缶入りオレンジジュースが始まりです。そして1969年にUCC上島珈琲が世界初の缶コーヒーを発売し、万博を契機に大ブームとなったのは、本連載の第8回でご紹介した通りです。
そして、1975年頃から缶入り飲料の自販機が全国的に普及しはじめ、缶で飲料を飲むのが当たり前という時代になりました。急須で日本茶を淹れるという習慣が生活から徐々に失われていき、日本茶の売り上げは頭打ちになりました。
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執筆=山本 貴也
出版社勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。投資、ビジネス分野を中心に書籍・雑誌・WEBの編集・執筆を手掛け、「日経マネー」「ロイター.co.jp」などのコンテンツ制作に携わる。書籍はビジネス関連を中心に50冊以上を編集、執筆。
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