ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2020.08.27
タビオ(靴下の企画・卸・小売り)
事業承継を果たした経営者を紹介する連載の第19回と第20回は、「靴下屋」や「Tabio」などの靴下販売チェーンを展開するタビオの創業者、越智直正会長。
1939年、越智会長は愛媛県の小さな村で11人兄弟の末っ子として生まれた。家業は農家で、長男が継ぐのが当たり前の時代。越智会長は中学校を卒業後、大阪の靴下問屋・キング靴下鈴鹿商店にでっち奉公に出た。これが、越智会長と靴下との出会いだ。13年間の奉公の後、越智会長は68年3月に靴下卸売業として、タビオの前身となるダンソックス(以下ダン)を創業した。
近年、日本で販売されている靴下の大半は海外製になっている。中国やベトナムなどで安価に製造できるからだ。そんな中で、ダンは創業以来、国内製にこだわり事業を拡大してきた。84年に靴下専門店ブランド「靴下屋」の1号店を福岡県久留米市にオープン。2000年には大証2部(13年に東証2部に市場変更)に上場した。戦後に創業した靴下専業で上場したのは国内初だったという。
越智会長は、長男と2人の娘に恵まれた。「自分の後継者は生まれたときから長男だと決めていました」と言い切る。「自分は農家の子どもなので、家業を長男が継ぐのは当たり前だと思ってきました。そこに迷いはありませんでした」と話す。越智会長は、長男の勝寛氏が生まれ、歩き始めた頃からずっと、「おまえがちゃんとお父さんの跡を継ぐんやぞ」と伝え続けてきたという。
このように親子承継を当然と考える越智会長だが、一方で、「過去の歴史を遡っても、親子承継がうまくいった例は、黒田官兵衛・長政親子くらいなもの。近現代の経営者を見ても、成功例は少ない。それくらい難しいことなんです」と厳しい現実も語る。なぜ親子承継は難しいのか。その理由をこう説明する。
「社長の息子ということで、周囲が一人前に扱わないんです。取引先もチヤホヤして本当のことは言わず陰で笑っている。おだてられた本人は、自分はすごいと勘違いしてしまい、正しい感覚が持てなくなるんです。本人の責任というよりは、周囲のせい。ある意味かわいそうだとは思うけれど、それが2代目の宿命ですわ」
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執筆=尾越 まり恵
同志社大学文学部を卒業後、9年間リクルートメディアコミュニケーションズ(現:リクルートコミュニケーションズ)に勤務。2011年に退職、フリーに。現在、日経BP日経トップリーダー編集部委嘱ライター。
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「事業承継」社長の英断と引き際