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公開日:2019.06.13
パフォーマンス心理学の最新の知見から、部下をやる気にする方法を紹介する連載。今回は、その前提となる、言葉に出ていない部下の心を見抜く技術の第4回です。部下の態度で、さまざまな心理を読み取ることができます。あなたは部下のスマイルから何を読み取っていますか。
デキる部下は「快のスマイル」&「社会的スマイル」
ニコニコしている人がいると気分が良くなります。上司も、笑顔の部下が数人いるだけで、部署全体が明るくなったような気分になります。でも、この笑いには、要注意の場合があります。説明しましょう。
笑いには「快のスマイル」と「社会的スマイル」の2種類があります。快のスマイルとは、自然と浮かぶ喜びの笑顔です。赤ちゃんがミルクを飲んで満足げにニコッと笑うとき、あるいは、大人になった部下であれば、うまく成果が出て上司に褒められたときにニコッと出るような笑顔です。
一方で「社会的スマイル」は喜びからきているとは限らない笑顔です。社会的スマイルには主に3つの理由が考えられます。
(1)ネガティブな感情(怒りや不安)などを隠したい場合。
(2)攻撃的な感情(不満をぶつける、不都合をごまかす)を悟られたくない場合。
(3)相手に良い印象を与えて、自分の立場を確保したい場合。
私が実施したアンケートでは、特に女性の場合は、敵をつくらないために社会的スマイルを浮かべることも分かっています。従って部下が女性であるとき、このスマイルは本心なのかと上司は特に考える必要があります。
2の攻撃のスマイルが非常に上手なのは小池百合子都知事です。相手の言ったことに対して、「それは何だ」とつかみかかりたいけれど、そうやって攻撃したらけんかになりますから、笑ってごまかす。その笑いで相手を攻撃する「攻撃のスマイル」です。「頭の黒いネズミがたくさんいましたよ」。「それは誰ですか」。ニコリ、「ご想像にお任せします。そういうことを調べるのはジャーナリズムの役割ですよね?」と言いながら、いつもニコリ、ニコリとします。首を少し右にかしげ、右から左に流し目をしながら口元を緩めています。
決してむき出しの攻撃性を表には出しません。しかし、心の中の攻撃欲求がこの小さなスマイルに隠されています。オリエンタル・スマイルとかアルカイック・スマイルと呼ばれてきた『モナ・リザ』の笑いなども、ここに共通するものがあります。口元だけはほほ笑みの形を保ち、不都合な感情は一切見せません。感情を極力抑えた「表現統制」がしっかりかかった攻撃や欺瞞(ぎまん)の目的がある表情です。表情筋の動きがかすかであるため「微表情(マイクロ・イクスプレッション)」とも呼ばれ、ちょっと油断すると見落としがちな表情の動きです。
言葉に出ていない部下の心を見抜く技術(5)
◆スマイルには「快のスマイル」と、「社会的スマイル」があります。
◆部下が笑っているからといって、本当に喜んでいるわけではないことを理解しましょう。
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執筆=佐藤 綾子
パフォーマンス心理学博士。1969年信州大学教育学部卒業。ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究学科修士課程修了。上智大学大学院博士後期課程満期修了。日本大学藝術学部教授を経て、2017年よりハリウッド大学院大学教授。国際パフォーマンス研究所代表、(一社)パフォーマンス教育協会理事長、「佐藤綾子のパフォーマンス学講座R」主宰。自己表現研究の第一人者として、首相経験者を含む54名の国会議員や累計4万人のビジネスリーダーやエグゼクティブのスピーチコンサルタントとして信頼あり。「自分を伝える自己表現」をテーマにした著書は191冊、累計321万部。
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部下のやる気に火をつける方法