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公開日:2019.10.10
パフォーマンス心理学の最新の知見から、部下をやる気にする方法を紹介する連載。今回は、その前提となる、言葉に出ていない部下の心を見抜く技術の第8回です。部下の心の中には、当然「性格」も入ります。性格によって業務に向き不向きがありますから、適材適所を知るには性格の把握は欠かせません。今回は、部下の視線や表情で性格を見抜く方法を紹介します。
言葉に出ていない部下の心を見抜く技術(12)
性格の内向性と外向性は視線の方向性で見抜く
人に会わず、黙々と1人で作業を続けることが好きなタイプの部下と、外に営業に行って多くの人に話したり、何か問題が起きたときに仕掛けていったりすることの多いタイプの部下がいます。心理学用語で一方を「内向性」、他方を「外向性」といい、モーズレイの性格検査でスコアをつけることができます。
この内向性の人たちが話し中に相手を見つめている時間と、外向性の人たちが相手を見つめている時間を比較実験したことがあります。もちろん外向性の人たちのほうが長い時間相手を見ていました。
けれど、この他に面白いことが分かりました。内向性の人は伏し目が多く、時に左右に泳ぎ目をしますが、その泳ぎ目の位置が低いのです。外向性の人はアイコンタクトが長く、はっきりと相手の目の中心を見つめたり、中心近辺を見つめたりし、低い位置で黒目が左右に泳ぐことはあまりありません。
視線の方向性で内向性、外向性が分かるのですが、どちらが良いと決めつけるのは、これまた違うのです。内向性の人のほうが内省的で、何かをクリエートしたり集中したりする仕事に向いている場合があります。一方、外向性の人は営業職や部下の教育などが向いている場合があります。要するに、目の動く方向性で内向性か外向性を見抜いたら、その人の適性に応じて、合っていると思われるポジションに就けてあげることが肝心だといえるでしょう。
実際、私のセミナーを受けた男性でWebデザイナーをやっているCさんは、なかなか人の顔を真っすぐ見ることがありません。どちらかというと、下を見てしまうのです。スピーチのときに「真っすぐ上を向いて話そう」と声をかけると、それを練習してやっと視線が上がってきたというありさまです。でも、彼は非常に優秀なWebデザイナーです。仕事の能力においては優れているわけですから、対人場面にその人を置くか、そうでない場面に置くかを上司が見分けてあげれば、部下は一番幸せでしょう。
こうした見分けによって、部下が得意とする役割を与えられれば、仕事の作業効率も上がり、部や会社全体のチームとしての生産性もアップするといえます。
言葉に出ていない部下の心を見抜く技術(12)
部下の内向性、外向性を見極めましょう。
◆アイコンタクトが長く、はっきり相手の目をじっと見つめているタイプが外向的、伏し目や泳ぎ目が多いタイプは内向的です。
◆仕事を依頼するときには、本人の適性に合わせるといいでしょう。
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執筆=佐藤 綾子
パフォーマンス心理学博士。1969年信州大学教育学部卒業。ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究学科修士課程修了。上智大学大学院博士後期課程満期修了。日本大学藝術学部教授を経て、2017年よりハリウッド大学院大学教授。国際パフォーマンス研究所代表、(一社)パフォーマンス教育協会理事長、「佐藤綾子のパフォーマンス学講座R」主宰。自己表現研究の第一人者として、首相経験者を含む54名の国会議員や累計4万人のビジネスリーダーやエグゼクティブのスピーチコンサルタントとして信頼あり。「自分を伝える自己表現」をテーマにした著書は191冊、累計321万部。
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