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公開日:2019.12.12
パフォーマンス心理学の最新の知見から、部下をやる気にする方法を紹介する連載。その前提となる、言葉に出ていない部下の心を見抜く技術の第10回です。部下が強い口調で不満などを言ってきた際、額面通りに受け取って対応していいのでしょうか。その背後にある部下の心理を見抜きましょう。
言葉に出ていない部下の心を見抜く技術(16)
日本大学藝術学部で教師として教え始めて今年で14年目になります。私のパフォーマンス学の授業は他の学部の学生たちにも人気の講座。ある日、経済学部の大学院を修了し、税理士事務所に就職したI君が、仕事の用事も兼ねて訪ねてきました。I君はさえない顔をしています。
「どうしたの?」と尋ねると「上司とうまくいっていないんです。上司は情緒が不安定で毎日イライラしているだけでなく、同じことをしても怒るときがあったり褒めるときがあったりと到底付いていけません」と言います。私はI君にどうしたいのかと聞きました。
「僕は会計士の資格もあるので、転職しようと思えばいくらでもできると思うんです。こんな上司の下で働くのは青春の無駄遣いですよね。綾子先生、辞めるなら今ですよね?」
「そうなのね、今辞めるのね」と返事をしながら、I君の顔を見つめました。するとI君が私の視線を避けるようにまばたきを繰り返し、右手でげんこつをつくり、そのげんこつを自分の上唇の前に持っていきました。そして、口の両サイドの口角をわずかに引き締め、唇を内側に入れ唇をかみしめたような動作をしました。
口では強がりを言っているのに、ちょっと弱気になっているのが、どうやらI君の心境のようです。私たちは口では強いことを伝えていても、不安があったり相手から引き留めてほしい、助言してほしいと思っていたりすると、その感情は必ず顔に出ます。
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執筆=佐藤 綾子
パフォーマンス心理学博士。1969年信州大学教育学部卒業。ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究学科修士課程修了。上智大学大学院博士後期課程満期修了。日本大学藝術学部教授を経て、2017年よりハリウッド大学院大学教授。国際パフォーマンス研究所代表、(一社)パフォーマンス教育協会理事長、「佐藤綾子のパフォーマンス学講座R」主宰。自己表現研究の第一人者として、首相経験者を含む54名の国会議員や累計4万人のビジネスリーダーやエグゼクティブのスピーチコンサルタントとして信頼あり。「自分を伝える自己表現」をテーマにした著書は191冊、累計321万部。
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部下のやる気に火をつける方法