休職とは、社員が業務外の傷病や留学やボランティアなどを行うために、一定の期間、会社を休むことをいいます。多くの会社が、就業規則に、この休職に関する規定を設けていることと思います。
休職は、法律に「こうしなければならない」という規定があるわけではなく、会社の裁量によって行われるものです。つまり、休職制度を設けるも設けないも会社次第、休職中の賃金を支払うも支払わないも会社次第ということになります。
休職は法的な制度ではないので、休職期間の長さについても、会社が自由に決めることができます。そして、規定された休職期間を過ぎても労働者が働けない状況にあれば、会社は、長期休職を理由に労働者を解雇しても不当とみなされることはありません。
就業規則に規定が必要
会社が休職制度を設ける場合は、就業規則に「どんな場合に休職できるか」や「その期間」、「期間が過ぎたときの措置」などについて規定することが必要となります(図表1参照)。
休職日と休職可能な期間を明確にする…
社員が休職を申し出て、会社がこれを承認した場合は、いつから休職が始まり、いつで終わるのかを明確にして、社員に通知しておくことが重要です。休職の起算日や休職可能期間があやふやだと、社員はいつからいつまで休職してよいか分かりませんし、会社もどう対応してよいか分からなくなってしまいます。「休職開始通知書」のような書類を作成し、休職の起算日と期間を明確にしておきましょう(図表2参照)。
■図表2 休職開始通知書(ダウンロード)
休職満了日の通知
会社は休職中の社員について、休職満了の日まで放置するのではなく、本人や家族には定期的に連絡を取っておきましょう。そして、休職の満了日が近づいてきたときには、その旨を休職中の社員に連絡します(図表3参照)。
■図表3 休職満了日の通知書(ダウンロード)
それまで会社から何ら連絡がなかったのに、突然「休職満了日が過ぎましたから、あなたは退職になりました」では、トラブルになることは必至です。会社は、どのようにしたら休職中の社員に安心を与えられるか、不快にさせないかを考える必要があります。
復職する社員への対応
復職の要件を満たすこととなった社員には、会社が復職を承認した旨を伝え、復職日を明確にした「復職命令書」のようなものを作成して渡します(図表4参照)。これにより、この社員は休職を終え、復職することとなります。
■図表4 復職命令書(ダウンロード)
ただし、社員が診断書を書いてもらう主治医の多くは、この社員の病状などについては詳しくても、普段どのような業務をしているか分かりません。また、場合によっては、復職を希望するあまり、社員本人やその家族が、主治医に無理を言って「復職可能」の診断書を書いてもらっている可能性がないともいえません。従って、主治医に加えて、会社の指定する産業医の診察を受けるように指導をし、産業医の意見を聞いてみることもポイントとなります。
復職できない社員への対応
休職満了日までに復職ができなかった社員に対しては、会社の就業規則にのっとり、自然退職となる旨を伝えます。ときどきこのような場面で「解雇」という言葉を使っている就業規則を見受けますが、会社を辞めなければならない社員の心情を鑑みれば「退職」という柔らかい言葉を使ったほうが無難だと思われます(図表5参照)。
■図表5 退職通知書(ダウンロード)