育児介護休業法には、育児休業以外にも、働きながら育児を行う労働者を支援するための制度が規定されています。もちろん、これらの制度についても、社員から請求があった場合には、会社は、義務としてこれを取得させなければなりません。
※紹介している書類は、厚生労働省のホームページから一部修正加筆したものです。
子の看護休暇
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する社員(日々雇用される者は除く)については、子が病気になったときや負傷したときに、子を世話するための休暇を取得させなければなりません(図表1参照)。
子の看護休暇の申し出があった場合の事業主の義務など
会社は、社員から子の看護休暇の申し出があったときは、これを拒むことはできません。ただし、労使協定で子の看護休暇を取得することができないものとして定められた次の(1)~(3)の労働者からの申し出については、拒むことができます。
(1)会社に引き続き雇用された期間が6カ月に満たない社員
(2)1週間の所定労働日数が2日以下の社員
(3)業務の性質若しくは業務の実施体制に照らして、1日未満の単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する社員(1日未満の単位で取得しようとする者に限る。例:キャビンアテンダントの業務に従事する社員)
子の看護休暇の取得方法
子の看護休暇は、1日の所定労働時間が短い社員として厚生労働省令で定めるもの(1日の所定労働時間が4時間以下の者)以外の者は、原則として、厚生労働省令で定める1日未満の単位で取得することができます。この看護休暇の申し出(図表2)は、これを取得する日(1日未満の単位で取得するときは子の看護休暇の開始と終了の日時)を明らかにしなければなりません。
■図表2 子の看護休暇申出書(ダウンロード)
半日の扱いについて
通常、半日とは労働時間の2分の1のことをいいます。つまり、所定労働時間が8時間の場合の半日は4時間です。ただし、7時間30分のように、労働時間に1時間未満の端数があるときは、その端数を切り上げた時間の2分の1が半日となります。つまり、所定労働時間が7時間30分の場合の半日は、「8時間÷2」で4時間ということになります。
しかし、例えば、9時始業、18時終業の会社の場合、半日の定義に徹すると、1日の前半は9時~13時、後半は14時~18時となり、実態にそぐわなくなります。このような場合、1日の前半を9時~12時、後半を13時~18時にしている会社が多いのではないでしょうか。半日をこのように定義する場合は、労使協定にその旨を締結する必要があります。
所定外労働の制限…
会社は、3歳に満たない子を養育する社員(日々雇用される者を除く)であって、労使協定で、所定外労働の制限をできないものとして定められた次に該当しない社員が、子を養育するために請求したときは、事業の正常な運営を妨げる場合以外は、所定労働時間を超えて労働させることはできません。
1.この事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない社員
2.1週間の所定労働日数が2日以下の社員
なお、この請求は、制限期間(1カ月以上1年以内の期間に限る)について、制限開始予定日および制限終了予定日とする日を明らかにして、制限開始予定日の1カ月前までにしなければなりません(図表3)。
■図表3 育児のための所定外労働制限申出書(ダウンロード)
時間外労働の制限
会社は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する社員(日々雇用される者を除く)であって、次のいずれにも該当しない者が請求したときは、制限時間(1カ月につき24時間、1年につき150時間)を超えて労働時間を延長させることはできません。
<1>この事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない社員
<2>週間の所定労働日数が2日以下の社員
なお、この請求は、制限期間(1カ月以上1年以内の期間に限る)について、制限開始予定日および制限終了予定日とする日を明らかにして、制限開始予定日の1カ月前までにしなければなりません(図表4)。
■図表4 育児のための時間外労働制限申出書(ダウンロード)
深夜業の制限
会社は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する社員(日々雇用される者を除く)であって、次に該当しない者が請求したときは、午後10時から午前5時までの間(深夜)に労働させることはできません。
[1]この事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない社員
[2]深夜において常態として子を保育することができる同居の家族などがいる社員
[3]1週間の所定労働日数が2日以下の社員
[4]所定労働時間の全部が深夜にある社員
なお、この請求は、制限期間(1カ月以上6カ月以内の期間に限る)について、制限開始予定日および制限終了予定日とする日を明らかにして、制限開始予定日の1カ月前までにしなければなりません(図表5)。
■図表5 育児のための深夜業制限申出書(ダウンロード)
所定労働時間の短縮措置など
会社は、雇用する社員(日々雇用される者を除く)のうち、3歳に満たない子を養育していて、育児休業をしていない者(1日の所定労働時間が6時間以下の労働者を除く)に関しては、申し出に基づき、育児のための所定労働時間の短縮措置を講じなければなりません。なお、次の者については、労使協定で、育児のための所定労働時間の短縮措置などを講じないものとして定めた場合は、この限りではありません。
〔1〕この事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない社員
〔2〕1週間の所定労働日数が2日以下の社員
〔3〕上記のほか、業務の性質または業務の実施体制に照らして育児のための所定労働時間の短縮措置などを講ずることが困難と認められる業務に従事する社員
なお、育児のための所定労働時間の短縮措置は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとしなければなりません(図表6)。
■図表6 育児短時間勤務申出書(ダウンロード)