ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2020.03.25
「見える化」とは、経営や活動実態を図表やグラフなどで具体的に表し、現場の問題点が誰にでも分かるようにする企業活動のことをいいます。働き方改革により業務の簡略化が求められる中、見える化の対応を迫られている企業も多いかもしれません。
今回は見える化の概要や目的、メリットの解説と、導入のポイントについて紹介します。
見える化とは具体的にどのようなものか、概要と導入する目的について見ていきましょう。
<見える化の概要>
見える化とは、情報や物事の全体が誰にでも分かるようにすることです。具体的な業務の内容や工程といった「業務プロセスの実態」を、グラフや図表などを用いて見えるようにします。
誰もが目に見える形にして業務プロセスの問題点を共有し、改善のための対策を効果的に行えるようになります。
見える化は「可視化」と呼ばれる場合もありますが、厳密には意味合いが異なります。「可視化」は顧客ニーズなど、実際には目に見えない問題点を見える状態にすることです。一方の「見える化」は、業務上などの問題点を常に見えるようにし、それによってさらに改善のアクションを起こせる状態をいいます。
業務改善には、見える化が欠かせないでしょう。
<見える化の目的>
見える化の目的としては、大きく次の4つが挙げられます。
1.異常の予防管理
「異常の予防管理」は、業務上の異常を目に見える形にして、問題を事前に予防することです。見える化の最大の目的だといえるでしょう。
業務内容によっては特定の人物以外は正常な状態が認識できず、異常を検知できないケースがあります。こうした業務を見える化して正常な状態を定義し、その状態から外れた場合に、誰でも異常を検知でき、予防管理も可能になります。
2.情報の共有
「情報の共有」は、個人が持つ知識や知恵を「見える化」し、多くの人と共同で所有することです。特定の業務で必要となる知識や知恵を個人の頭の中だけにとどめていると、他の人が活用できません。
個人が持つ知識や知恵も「見える化」すれば、企業内での情報の共有ができ、今までになかった新たな気付きを得られる可能性があります。
3.自立した組織づくり
「自立した組織づくり」は、共通の目的や目標・方針を明確化し、組織として活動できるようにすることです。組織でありながら、目的が明確化されていなければ「個人の集団」です。見える化で目的を明確化することで、個人間の知識や知恵も共有できるようになり、自立した組織となるでしょう。
4.業務改善
「業務改善」は、個人や組織の状態を見える化することで、業務内容を適切に調整するものです。社員の働き方を測定しながら、効率的に業務を進めるために実施します。
「異常の予防管理」「情報の共有」「自立した組織づくり」によって属人的な業務を減らします。状況を把握して「業務改善」につなげるのが見える化の目的といえるでしょう。
見える化によって得られる6つのメリットについて紹介します。
<1:課題の把握ができ、改善策の検討がしやすくなる>
見える化によって課題や問題点が目に見える形になり、組織内で共有できるため、改善策の検討がしやすくなります。
課題や問題点に対し具体的なアクションにまで結び付けられるため、効果的に課題が解決できるようになります。
<2:業務方法や企業情報の共有がしやすくなる>
業務によっては、個人個人が異なる方法で行っているケースも少なくありません。見える化によって業務方法の標準化をし、属人的な業務を減らせます。
<3:部門ごとの連携がしやすくなる>
見える化によって他の部門の状態が分かるようになるため、部門が分かれていても連携しやすくなります。
<4:社員の動きが把握しやすくなり、公正な人事評価がしやすい>
人事評価をする場合、業務プロセスが見え、社員の動きが把握しやすくなるでしょう。属人的な業務内容は客観的に評価しづらいですが、見える化によって公正な人事評価がしやすくなります。
<5:作業リスクやミスの軽減>
属人的な業務内容では、作業ミスに気付きにくいものです。また、問題が共有されない場合は、担当者が変わるたびにミスが起こりやすくなります。
見える化によって業務プロセスを誰でも分かるようになると、作業リスクの対策が可能になりミスの軽減にもつながります。
<6:コストの削減>
業務プロセスを注意深く見ると、無駄な部分が多く潜んでいるものです。見える化によって業務プロセス上の無駄を排除し、人員や不必要な残業のコストを削減できます。
見える化を導入するためのポイントについて、導入準備から導入後まで1つずつ見ていきましょう。
<見える化の導入準備>
導入の準備段階では、次の3つのポイントがあります。
・理想の形を明確にし、現状を整理する
・業務担当者からヒアリングする
・見える化する項目を決める
見える化を導入する前に、組織の理想の姿を明確にし、現状を整理します。理想の形に対して、どんな課題や問題があるのかを把握しましょう。
現状把握のため、業務担当者からのヒアリングも必要です。実際に業務を担当する立場では、どんな課題や問題を抱えているのか、どのように業務を進めているのかなどのヒアリングを行いましょう。
次に、見える化する事項を決定します。課題や問題点を見えるようにするのか、業務プロセスを見えるようにするのか、複数の観点で考えて決めましょう。
<見える化を導入する>
上記に挙げた導入準備のポイントを基に、組織に合わせた見える化のソリューションを導入しましょう。
見える化によって作成するグラフなどのレポートは分かりやすいか、導入の手間がかからないかにも注意してください。AIによって自動的に業務プロセスを見える化する方法もあります。
<見える化を導入した後>
見える化のソリューションを導入しても、それで完了ではありません。定期的に得られる分析結果やレポートを参考に、新たな課題や問題に対応する必要があります。
見える化による実績や成果などを、組織内の全員で共有するのも大切です。見える化の導入後もPDCAサイクルを継続し、よりよい組織づくりに生かしましょう。
見える化は、属人的な業務を減らし、業務改善につなげる効果が期待できます。見える化によって業務を効率的に行え、課題や問題点も見つけやすくなります。組織の発展には、なくてはならないものになるでしょう。
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※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=太田 勇輔
ネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト保有。インフラエンジニアとして、官公庁や銀行などのシステム更改をメインに10年従事した後、IT関連ライターとして活動中。プログラミング、ネットワーク、セキュリティなどの解説記事を中心に執筆している。
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