ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2020.09.24
勤怠管理システムは、従業員の出退勤の時間を管理するためのシステムです。従来はタイムカードなどで勤怠を管理していましたが、現在ではIT化が進んでシステム化されている場合が多いでしょう。ただし、勤怠管理システムと一言でいってもその種類はさまざまであり、どのような基準で選ぶべきか迷うお客さまもいるかもしれません。
そこで今回は、勤怠管理システムの概要からメリット・デメリット、選ぶポイントを解説します。
「勤怠管理システム」はその名の通り、勤怠を管理するためのシステムですが、具体的にどのようなものなのでしょうか。ここでは、概要とできることについて見ていきましょう。
<勤怠管理システムの概要>
勤怠管理システムは、従業員の出退勤の時間を会社が管理・把握するためのシステムです。勤怠管理システムに入力された情報に基づいて就業日数、残業時間などを自動的に計算できます。従業員の出退勤時間、就業日数などを管理して給与計算ソフトと連携し、給与の計算も自動的に行えます。
会社は労働基準法にのっとって従業員の勤怠を管理する義務があり、従業員の残業時間や就業日数が基準を超えないように管理しなければなりません。勤怠管理システムを利用することで、従業員数が多い企業でも一人ひとりを管理できます。
勤怠管理システムへの出退勤の入力には、さまざまな方法が用いられます。手動で出退勤を入力するものもありますが、近年の勤務管理システムではオフィスの出入り口に設置する入退室管理システムと連携させるのも可能です。ICカードで入退室を管理している場合、そのデータに基づき自動的に出退勤も記録できます。従業員の勤怠入力時間・報告の手間を省き、正確な勤怠管理が行えるようになっています。
その他にも、パソコン・スマートフォン、指紋認証を用いた勤怠入力もあります。近年では、クラウド型の勤怠管理システムが普及しています。
<勤怠管理システムでできること>
勤怠管理システムの機能としては、以下のことができます。
・勤怠情報の集計
・打刻設定
・休暇、残業の申請
・シフト設定
・給与ソフトとの連携
など
さらに、従業員の勤怠状況を自動的に集計でき、次に挙げることが実現可能です。
(1)業務効率化
従業員一人ひとりのタイムカードを集計する作業が不要になります。また、給与ソフトと連携させ、勤怠データに基づいた給与計算が自動的に行えます。従業員数が多いほど、業務効率化の効果は高いといえるでしょう。
(2)コスト削減
タイムカードで勤怠管理をする場合、タイムカードの購入費や手作業での集計作業による人件費などはコストとして無視できません。しかし、勤怠管理システムはITシステムであり、それらのコストが不要です。
(3)人事戦略へのデータ活用
従業員ごとの勤怠状況がすぐに確認できるため、労働環境の見直しに役立てられます。負荷の高い従業員のサポートに活用したり、拠点ごと・支店ごとの労働環境のデータ化に利用したりすることも可能です。
勤怠管理システムは非常に便利なものであり、導入することで多数のメリットを得られます。一方でデメリットも存在していますので、導入の際には双方をしっかりと把握することが重要です。
<4つのメリット>
(1)集計工数の削減
勤怠管理システムでは、従業員の勤怠情報を自動的に集計できます。そのため、従来手作業だった集計作業が不要になり、集計工数の削減が実現します。業務効率化につながる部分でもあり、勤怠管理システムを導入する際のメリットとなっています。
(2)人的ミスの防止
手動で勤怠情報を管理する場合、どうしても人的ミスが発生する可能性があります。勤怠の入力ミスや集計時のミスが発生すると、対応に工数が取られてしまうことに。勤怠管理システムではシステマチックに処理されるため、人的ミスの防止が可能です。
(3)不正打刻の防止
勤怠管理システムでは、従業員の不正打刻の防止にもなります。例えば、「定時での退勤と入力されているものの、実際には残業していた」「遅刻しているのに定刻通りに出社したことにしていた」といった不正打刻を防止できるのです。スマートフォンを使ってリモートで打刻できる勤怠システムの中には、GPSを用いて不正打刻を防ぐ機能を持ったものも存在します。
(4)給与算出における全体コスト削減
給与計算ソフトと連携させることで、まとめられた勤怠情報をもとに自動的に給与を算出可能です。給与計算システムへの入力など一切の手作業が発生せず、全体コストを削減できます。原則、給与算出は毎月の作業となるため、自動化によるコスト削減効果は非常に大きいといえるでしょう。
<2つのデメリット>
(1)自社とのミスマッチ
勤怠管理システムが自社の就業規則や勤務体系に則したシステムではない場合、勤怠管理が煩雑になる恐れがあります。勤怠時間の細かい調整に工数を取られ、反対に勤怠管理が難しくなる可能性も考えられ、導入時には注意が必要です。
(2)サービス導入時に費用がかかる
勤怠管理システムの導入には費用がかかります。費用の内訳としては、システムのソフトウエア代、サーバー構築費用、保守費用などが考えられます。初期投資が高額すぎる場合、費用対効果が低くなる可能性があるため注意が必要です。
なお、クラウド型の勤怠管理システムであれば、サーバー構築費用・保守費用などは不要です。近年、クラウド型の導入事例が多くなっています。
勤怠管理システムを選ぶ際には、いくつか注意しなければならない点があります。特に注意すべき4つの点を紹介しますので、1つずつ見ていきましょう。
(1)自社の従業員が使いやすいシステムか
導入する勤怠管理システムが、自社の従業員が使いやすいものであるかの確認が重要です。勤怠管理システムの機能が豊富でも、従業員が使いづらいシステムの場合は、勤怠の入力に時間が取られてしまいます。
(2)他システムとの連携
勤怠管理システムは、給与算出ソフトや入退室管理システムなどとの連携によって、導入時のメリットが最大化されます。しかし、他システムとの連携が可能かどうか、またどんなシステムと連携可能かは勤怠管理システムごとに異なります。事前にしっかりと確認しましょう。
(3)自社の勤務形態、雇用形態に対応しているか
自社の勤務形態、雇用形態が一般的な場合は問題ありませんが、特殊な場合はシステムのカスタマイズが可能か確認しなければなりません。また、一般的だと思っている自社の勤務形態が、実はそうではない可能性もあります。導入の際には勤務形態、雇用形態を洗い出し、それらの項目が実現可能なシステムであるかを確認しましょう。
(4)システムの種類は最適か
勤怠管理システムは大まかに分別すると「オンプレミス型」と「クラウド型」に分けられます。
オンプレミス型……サーバー上に構築し、自社で運用する勤怠管理システム
クラウド型……オンライン上で利用できるサービスとしての勤怠管理システム
それぞれにメリットとデメリットが存在しており、従業員規模やカスタマイズ性(拡張性)の高さを基準に自社に最適なタイプを選択しなければなりません。
「従業員規模が1000人以上、高い拡張性が必要」な場合はオンプレミス型、「従業員規模が1000人未満、拡張性は低くても問題ない」場合はクラウド型、というように使い分けると良いでしょう。
勤怠管理システムは、従業員の勤怠を管理するシステムです。導入することで業務効率化やコスト削減などの効果が得られます。人的ミスや不正打刻の防止も可能であるため、未導入の企業は検討を進めてみてはいかがでしょうか。勤怠管理システムを導入することで、勤務実態の視える化にも役立てられます。導入の際には、他システムとの連携が可能か、自社の勤務体系などに対応しているか、を必ず確認しましょう。
勤務管理システム単体での勤務実態の視える化は難しく、手間もかかりそうだと感じるかもしれません。NTT西日本ではパソコン業務の現状の働き方をAIで視える化するサービス「おまかせAI 働き方みえ〜る」を提供しています。NTT西日本グループ独自に開発したAIによって膨大なデータから、働き方に対する課題の「視える化」をサポートするサービスです。
働き方の視える化は、働き方改革への対応を進めるうえでも不可欠です。勤怠管理システムと併せて導入を検討してはいかがでしょうか。導入に際しては専用ヘルプデスクも用意しておりますので、お気軽にご相談ください。
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=太田 勇輔
ネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト保有。インフラエンジニアとして、官公庁や銀行などのシステム更改をメインに10年従事した後、IT関連ライターとして活動中。プログラミング、ネットワーク、セキュリティなどの解説記事を中心に執筆している。
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