ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2020.10.27
2019年4月に施行の「働き方改革関連法」において、業務の効率化は欠かせない要素であり、喫緊の課題といえるでしょう。
業務を効率化するツール・考え方として、近年注目を集めている「RPA」をご存じでしょうか。RPAはロボットによる業務自動化を実現するもので、今後普及が予想されます。
そこで今回は、RPAの概要やメリット・デメリット、具体的な導入手順を解説します。
「RPAという言葉は聞いたことがあっても、その内容は分からない」という方は多いのではないでしょうか。ここでは、RPAの概要を解説します。
<RPAの概要>
RPAはRobotic Process Automationの略称で、「ロボットによる業務自動化」を表します。これまで人間が行ってきた定型的なパソコン操作を、ソフトウエアロボットによって自動化するツールです。
具体的には、次に挙げる作業をRPAによって自動化できます。
・キーボードやマウスなどのパソコン画面操作
・異なるシステム・アプリケーション間のデータの受け渡し
・社内システムと業務アプリケーションのデータ連係
・ID/パスワードなどの入力
など
パソコンを含め、コンピューターは繰り返し処理が得意です。煩雑で手のかかる定型作業をソフトウエアロボットに任せ、業務の効率化が図れます。
なお、RPAとAI(人工知能)を混同する方も少なくありませんが、両者は厳密には異なるものだと覚えておきましょう。
RPAは「ルール通りに動く手作業の代替ツール」、AIは「大量のデータを元にして最適と思われる答えを導き出すもの」です。RPAは定められたルール通りにしか動作しませんが、AIは自ら学習して提案・指示が可能、という違いがあります。
<RPAには3段階の自動化レベルクラスがある>
RPAとAIを組み合わせると、高度な自動化が実現します。RPAには3段階の自動化レベルクラスが存在していますが、多くのRPAはクラス1に該当する自動化レベルなのです。
なお、自動化レベルクラス1~3は以下のように区別されています。
現在では、レベルクラス1:RPAの段階で運用されるケースがほとんどです。しかし、今後のAIの進歩によって、レベルクラス2:EPAやレベルクラス3:CAが実現することになるでしょう。
RPAを導入・運用する際には、メリットだけでなくデメリットも把握しておくべきです。業務の効率化をはじめ、さまざまなメリットが得られますが、デメリットもしっかりと確認しておきましょう。
<RPAのメリット>
RPAを導入・運用する際のメリットとしては、次のようなものが挙げられます。
・人為的ミスの防止
RPAに任せる業務は定型的な作業となりますが、人間が行う場合はどうしてもミスが起こり得るものです。しかし、RPAはソフトウエアロボットが定められたルール通りに作業を行うため、抜け・漏れといった作業ミスが防げます。
・生産性の向上
定型的な業務はその多くが単純作業であり、価値を生み出す業務とはいいにくいものです。単純作業をRPAに任せ、人間はより生産的な業務に集中できるようになり、生産性の向上につながります。
<RPAのデメリット>
RPAを導入・運用する際のデメリットとしては、次のようなものが挙げられます。
・導入と普及におけるコスト
RPAの導入と普及にはコストがかかる点はデメリットといえるでしょう。RPAの導入費用としてのコストはもちろん、RPAを適用する業務ごとに一からシナリオを作成しなくてはなりません。開発生産性が悪くなり、普及におけるコストが膨らむ可能性も考えられます。
・仕様変更に伴う誤作動の可能性
RPAは定められたルール通りにしか動作しません。そのため、RPAツールの仕様変更や業務内容の変更に伴い、想定と異なる結果を生む誤作動の可能性が考えられます。誤作動した場合はその修正対応が必要です。RPAで自動化したにもかかわらず、手作業が必要になり、手間がかかるリスクがある点はデメリットといえます。
・障害による業務停止リスク
RPAはコンピューター上で動作するシステム・ツールであるため、RPAを導入したパソコンやサーバーで障害が発生すると業務が停止するリスクがあります。また、RPAの能力はサーバーや導入したパソコンに依存し、性能の低い機器を利用するとかえって作業効率が悪くなる可能性も考えられます。
RPAを上手に導入・運用するためには、次に挙げる4つのステップを経ると失敗する可能性を軽減できます。各ステップで行う具体的な手順を見ていきましょう。
<ステップ1:導入検討の準備>
はじめに行うのは「業務の棚卸し」です。RPAに任せる業務は定型的な業務となりますが、具体的にどのような業務が任せられるかを検討する業務の棚卸しは欠かせません。
また、業務の棚卸しを行うには、「業務の視える化」が必要不可欠といえるでしょう。
属人化した業務は特に外部から見えづらく、業務プロセス全体の視える化・棚卸しが重要です。業務の棚卸しと併せて、RPAの適用範囲を明確化します。
棚卸し・適用範囲の明確化が完了したら、その内容から企業に最適なRPAツールを選定しましょう。
<ステップ2:導入→運用(スモールスタート)>
次のステップでは実際にRPAを導入して運用を開始します。まずは小さい業務単位・組織単位で導入・運用を開始するのをお勧めします。いきなり大規模な業務内容をRPAで自動化すると、想定通りの動作をしなかった場合の修正対応に時間と手間がかかるからです。
まずは、小さい単位でRPAを導入・運用し、RPAのノウハウを積み上げましょう。
<ステップ3:導入効果の検証>
RPAを導入して業務の自動化が実現しても、そこで終わりではありません。RPA導入における効果を検証し、さらなる業務効率化やRPA適用範囲の拡大化につなげましょう。
RPA導入効果を定量的に分析し、自動化した業務と人間が行う業務の共存ルールの再設計を行います。
<ステップ4:導入の拡大>
ステップ3まで完了できれば、さらに自動化させるべき作業が見えてくるでしょう。
ステップ4は本格的な導入への移行ステップです。RPAの導入範囲を段階的に広げることで、さらなる業務効率化が見込めます。
RPAを導入する際は「PDCA(Plan/Do/Check/Act)サイクル」が必要不可欠です。まずは小さくスタートして範囲を広げていく方法を採り、失敗する可能性を軽減します。ぜひ、試してみてはいかがでしょうか。
RPAは「ロボットによる業務自動化」を実現するツールであり、業務効率化のために近年注目されています。RPAの導入は業務効率化だけでなく、残業費の抑制や人為的ミスの防止といったメリットが期待できます。
しかし、「仕様変更に伴う誤作動の可能性」や「障害による業務停止リスク」といったデメリットもあり、導入の際にはこれらのリスクも併せて確認が必要です。
RPAを導入する手順は、大まかに4つのステップに分けられます。はじめの段階で「業務の棚卸し・業務の視える化」を実施し、「小規模での運用」をスタートさせます。導入後は「効果検証」を行ってRPA適用範囲を確認し、「導入の拡大」へ移行する流れです。
しかし、RPAツールを導入するうえで欠かせない「業務の視える化」は対応が難しいもの。そこで、NTT西日本では現状のパソコン業務での働き方をAIで視える化する「おまかせAI 働き方みえ~る」サービスを提供しています。このサービスは、NTT西日本グループ独自開発したAIが膨大な業務データを分析し、パソコン業務での働き方の課題の「視える化」をサポートします。
RPAツールの導入前に、視える化の対応として導入を検討してはいかがでしょうか。導入に際しては専用ヘルプデスクも用意していますので、お気軽にご相談ください。
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=太田 勇輔
ネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト保有。インフラエンジニアとして、官公庁や銀行などのシステム更改をメインに10年従事した後、IT関連ライターとして活動中。プログラミング、ネットワーク、セキュリティなどの解説記事を中心に執筆している。
【M】
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