強い会社の着眼点(第19回)
古いルーターはリスクフル!買い替えポイントは?
公開日:2020.11.05
新型コロナウイルスの感染拡大を防止する目的で広がりつつあるテレワーク。業務の効率性を高める手段として注目されるものの、実際には長時間労働になってしまう人の割合が半数を超えるというニュースが見受けられます。
テレワークで長時間労働が発生しやすい原因は何なのでしょうか。今回は、長時間労働になりやすい原因とリスク、テレワーク時の長時間労働を改善する方法について解説します。
テレワークが長時間労働になりやすい原因は、まだその働き方に慣れていないことが挙げられるでしょう。しかし、別の理由も考えられます。テレワークが長時間労働になりやすい原因と併せて、そのリスクについて見ていきましょう。
<テレワークが長時間労働になりやすい原因>
テレワークが長時間労働になりやすい原因として、次の3つが挙げられます。
・仕事とプライベートが曖昧になりやすい
・社内コミュニケーションの減少
・評価指標が成果主義になりやすいため
テレワーク実施者の中には、在宅勤務を選択する人も多いでしょう。在宅勤務の場合、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすく、集中できないために長時間労働となる例が見受けられます。
また、社内コミュニケーションの方法も対面ではなく、メールやチャット、ビデオ通話などに限られます。そのため、コミュニケーションが減少してうまく意思疎通ができずに、作業のやり直しが発生しやすいのも原因の1つとして挙げられるでしょう。
その他にも、テレワークでは働いている姿が見えず、成果で評価されるケースが多くなります。そうなると、従来のオフィスで働くよりも「成果を出さなければならない」と考え、結果的に長時間労働に陥りやすくなるケースも考えられます。
<長時間労働によるリスク>
長時間労働にはさまざまなリスクがありますが、その中でも次の2つのリスクに気を付ける必要があります。
・働き過ぎによる生産性の低下
・病気発症の可能性
「日本は先進国の中でも長時間労働が常態化しており、労働生産性はあまり高くない」と聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。内閣府の資料によれば、国際的に見ると労働時間が短いと生産性が高い傾向にあるのが分かります。
2015年時点のドイツの例を見てみると、総労働時間は日本が約1700時間/人なのに対してドイツは約1300時間/人で、日本の総労働時間の約8割です。しかし、ドイツの労働生産性は日本の水準を50%近く上回ります。
同資料では、1人当たりの労働時間が10%減少すると、1時間当たりの労働生産性は25%高まるといわれています。働き過ぎは生産性の低下につながるのが分かります。
また、独立行政法人労働安全衛生総合研究所の資料によれば、長時間労働は脳・心臓疾患の危険性を高めるとされています。一例として、過去1カ月間の週労働時間が61時間以上では、40時間以下に比べて心筋梗塞のリスクが1.9倍になるとのこと。
さらに、精神障害や自殺の危険性も高めるといわれ、長時間労働がもたらすリスクは無視できません。
参照元
・技術革新と働き方改革がもたらす新たな成長-第2章第2節3 長時間労働是正と柔軟な働き方の導入による生産性向上(内閣府)
・長時間労働者の健康ガイド(独立行政法人労働安全衛生総合研究所)
さらに問題視されるのが、テレワークでのサービス残業です。テレワークは長時間労働になりやすいのに加え、サービス残業になるという調査結果もあります
実際に日本労働組合総連合会が発表した資料によれば、同連合会が実施したアンケート回答者の65.1%が「時間外・休日労働をしたにもかかわらず残業・休出申請をしていない」と回答しました。
その理由としては、次の2つが大半を占めています。
・申告しづらい雰囲気だから
・時間管理がされていないから
テレワークは会社と従業員の双方にとってメリットがなければならず、このような状況ではテレワークの普及は難しいといわざるを得ません。また、テレワークに慣れていないため「時間外労働を自分のせい」にして、申請をしない例も見受けられます。
参照元
・テレワークに関する調査2020(日本労働組合総連合会)
テレワーク時の長時間労働の改善およびサービス残業をなくすには、具体的にどのような対策をすればよいのでしょうか。ここでは会社側とテレワーク実施者側に分けて、それぞれの対策方法を解説します。
<会社側の対策方法>
会社側としては、次に挙げるような対策が考えられます。
・残業を申告しやすい環境をつくる
・労働時間を適切に把握、管理する仕組みをつくる
・コミュニケーションをしっかりと取る
サービス残業が起きやすい理由として「申告しづらい」「時間管理がされていない」理由が大半を占めるという調査結果もあることからも、就業規則の整備が追い付いていない状況が予想されます。従来の就業規則のままでは、新しい働き方であるテレワークに対応できない可能性が考えられるのです。そのため規則として明確に定め、申告しやすい環境をつくるとよいでしょう。
また、労働時間を適切に把握、管理するために、ログ管理システムや勤怠管理システムを新たに導入し、新たな仕組みとする方法も挙げられるでしょう。
さらに、長時間労働になりやすい原因として、コミュニケーション不足が挙げられたことからも、Web会議ツールやチャットツールを活用する仕組みづくりも重要となります。
<テレワーク実施者側の対策方法>
テレワーク実施者側としては、次に挙げる対策が考えられます。
・残業は許可を取る
・業務報告を怠らない
・セルフマネジメントを意識する
オフィスで働く場合と違い、テレワークでは上司に見られているわけではないので、残業申請や業務報告を怠りがちです。しかし、それが長時間労働・サービス残業につながります。「残業は許可を取る」「業務報告を怠らない」というルールの順守が重要です。
また、テレワークではプライベートと仕事の境界が曖昧になりやすく、従来のオフィス勤務以上にセルフマネジメントを意識し、「時間内に質の高い仕事をする」意識が大切です。自ら時間管理を行い、ダラダラと業務を進めないようにしましょう。
これまで述べてきたようにテレワークでは、従来のオフィス勤務と比べて長時間労働・サービス残業が発生する傾向が見られます。原因は「仕事とプライベートが曖昧になりやすい」「社内コミュニケーションの減少」などが挙げられ、「生産性の低下」や「病気発症の可能性」につながるため注意が必要です。
その対策は会社側とテレワーク実施者側の双方で実施する必要があります。具体的な対策案としては、「残業を申告しやすい環境をつくる」「労働時間を適切に把握、管理する仕組みをつくる」「セルフマネジメントを意識する」などが挙げられます。
双方にとってメリットのあるテレワークを実施するために、長時間労働・サービス残業をなくす対策を行いましょう。
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※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=太田 勇輔
ネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト保有。インフラエンジニアとして、官公庁や銀行などのシステム更改をメインに10年従事した後、IT関連ライターとして活動中。プログラミング、ネットワーク、セキュリティなどの解説記事を中心に執筆している。
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