ニューノーマル処方箋(第20回)可視化と分析でさらなる業務変革へ ビジネスプロセス改善の最新手法「プロセスマイニング」を解説

業務課題 IT・テクノロジー 時事潮流 デジタル化

公開日:2023.03.30

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 デジタル技術を活用してさらなる価値を生み出すべく、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が増えています。その次なる一手として、業務システムに集められたログを分析して業務プロセスを可視化し、そこから業務改善のポイントを探る「プロセスマイニング」が注目されつつあります。グローバルでは大手IT企業による専業ベンダーの買収が続き、代表的な海外ベンダーも日本法人を立ち上げて国内市場も盛り上がりを見せています。なぜ今、プロセスマイニングが注目されているのか。また、企業や組織にどのような価値をもたらすのか。上智大学教授でプロセスマイニング協会 代表理事の百瀬公朗氏の見解を踏まえて解説していきます。

業務の自動化が進むも業務プロセスの見直しは手つかず

 デジタルトランスフォーメーションへの取り組みや働き方改革、人材不足解消などさまざまな要因から、多くの企業にて業務をデジタルツールで効率化しようとする動きが活発化しています。効率化のアプローチとして特に関心の高い領域が「自動化」であり、その代表的な技術の1つに「RPA(Robotic Process Automation)」があります。

 RPAツールは、専門スキル不要で扱えるものも多く、業務部門が情報システム部門に大きく依存せずに業務の効率化・自動化を進められるとして急速に普及してきました。専門家が不要という観点では、ほかにも業務部門自身でアプリケーション開発ができるノーコード開発ツールも脚光を浴びています。こうして、これまで投資対効果の観点からシステム化が進まなかった業務も、現場主導でその取り組みを推進できるようになっています。

 ただし、これらのツール導入には注意が必要です。ツールを導入すれば無条件に改善効果が得られるわけではなく、「期待するほどの効果が出なかった」という結果に終わることもあります。この原因の1つに、既存の業務の見直しができていないことが挙げられます。

 RPAなどによる自動化やノーコードによるアプリ開発で業務改善を進めるにあたり、業務を整理してどこに問題があるのかを把握してから取り組まなければ、真の効果は得られません。例えばある業務がRPAによる自動化によって処理スピードが速くなったとしても、「業務整理してみたら、そもそもその業務は必要なかった」というものであれば、当然ながら自動化を適用する意味はありません。言い換えれば単に業務を自動化しようとする発想では、「本当にその業務が必要だったのか」「業務のやり方を見直す必要がないか」という抜本的な視点からの改革が困難です。そこで現在注目されているのが「プロセスマイニング」です。

業務プロセスを分析して改善を図るプロセスマイニング…

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