<目次>
・飛行機や鉄道に比べると、自動車のCO2排出量はケタ違いに大きい
・エコカーが「200万円引き」で買える!?
・リースにも適用。ただし3~4年は保有し続ける義務あり
飛行機や鉄道に比べると、自動車のCO2排出量はケタ違いに大きい
日本政府は、2050年までに温室効果ガスの実質的な排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」を掲げており、その実現のためにさまざまな施策を行っています。
「自動車」も、カーボンニュートラルに向けた取り組みが進む分野の1つです。経済産業省では2035年までに、乗用車の新車販売の100%を電動車とすること、商用車についても2040年までに電動車および脱炭素燃料車を100%とすることをめざしています。
実は自動車は、CO2排出量が非常に多い乗り物です。国土交通省の2022年度のデータによると、日本における運輸部門のCO2総排出量1億9180万トンのうち、自動車の排出量は1億6456万トンで、全体の85.8%も占めています。航空が970万トン(5.1%)、鉄道が738万トン(3.8%)であることと比べると、文字通り桁違いに大きい数値です。
ただし、自動車のCO2排出量は徐々に減少しています。例えば自家用乗用車では、2001年度の約1億2500万トンがピークでしたが、2005年度は1億1300万トン、2013年度は1億400万トン、2022年度は8600万トンと、徐々に減りつつあります。
自動車のCO2排出量が減少している背景には、排出ガス性能や燃費性能に優れた自動車である「エコカー」の普及があります。一般的に自動車はガソリンを動力源としているため、エンジンでガソリンを燃焼する際、どうしてもCO2を発生します。しかし、HV(ハイブリッド車)やPHV(プラグインハイブリッド車)であれば、ガソリンだけでなく、電気でモーターを動かして走行するため、ガソリン車よりも高い燃費性能が期待できます。
さらにEV(電気自動車)であれば、ガソリンを使用せず、電気だけで運転するため、走行時のCO2排出量をゼロにすることも可能です。同様にFCV(燃料電池自動車)も、水素によって発電した電気で走行するため、同じく走行時のCO2排出量はゼロです。
これらエコカーが普及すれば、CO2の排出量は現在よりもさらに削減でき、2050年のカーボンニュートラルも夢ではなくなります。
エコカーが「200万円引き」で買える!?…
カーボンニュートラルの実現に向けたエコカー普及のため、政府はさまざまな補助金制度を行っています。その1つが、「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」(CEV補助金)です。
この補助金は、エコカーのようなクリーンエネルギー自動車の普及のため、EVやFCVの需要創出や車両価格の低減を促すことを目的とした補助金です。一般社団法人次世代自動車振興センターが実施するもので、対象となる車種を、中古ではなく新車で購入した法人や地方公共団体、個人が申請可能です。地域に制限はなく、日本全国で利用可能です。
補助の対象となるのは、EV/軽EV(軽自動車のEV)/PHV/FCV/電動二輪の5種類で、かつ同センターが承認し、ホームページにて公開されている車種に限られます。HVについては、補助金の対象外です。
補助額は車種によって異なります。同センターが公開しているリストによると、例えばトヨタのEV「レクサス UX 300e」の場合、約527~640万円という定価に対し、補助額はその13~16%に当たる85万円に設定されています。
PHVも補助の対象ですが、ガソリンも使用できるため補助率はEVよりも下がります。トヨタのPHV「レクサス NX450h+」の場合、定価は約649~702万円と、先に挙げたEVのレクサスよりも高額であるものの、補助額は55万円(販売価格の約7~8%)と、比較すると少額に設定されています。
軽EVでは、日産「サクラ」や三菱「eKクロス EV」なども対象車種に指定されています。両車種の補助額は55万円と、こちらもEVのレクサスと比べると少ないですが、定価はいずれも200万円台のため、20~25%ほどが補助されることになります。
最も補助額が高額なのがFCVです。例えばトヨタのFCV「MIRAI」は、定価が約660~782万円に対し、補助額は多くの車種で145.3万円と100万円オーバーで設定されています(定価の約18~22%)。さらに、MIRAIの「ZBA-JPD10」という車種に限ると、定価約673万円に対し、補助額はその約34%の232万円で、今回のリストの中では最高額となります(2024年7月4日時点)。
リースにも適用。ただし3~4年は保有し続ける義務あり
この補助金の給付を受けるためには、自動車の登録が完了後、登録日の翌月の前日までに、自動車振興センターに申請を行う必要があります。車両登録日までに支払い手続きが完了していない場合は、登録日の翌々月の末日が提出期限となります(応募要領のPDFはこちら)。
補助金を受けた場合、使用者はその車両をしばらく保有する義務が発生し、期間は新規登録から4年(一部の車は3年)と設定されています。やむを得ず車両を処分しなければいけない場合、自動車振興センターに対し事前の手続きと補助金の返納を求められます。同センターの承認を得ずに車両を処分した場合は、補助金の全額返納を要求される場合もあります。
なお、この補助金はリース車に対しても有効であり、保有義務期間を満たしているリース契約であれば、補助金を受け取ることが可能です。補助金の申請はリース会社ではなく、リース車の使用者が行います。
最新のエコカーは、性能の高さからどうしても価格が高くなりがちですが、この補助金を利用すれば、導入のハードルを低くすることが可能です。しかも、エコカーの導入補助金制度は地方自治体で行っているものもあるため、併用すればさらにハードルを低くできます。
社用車、もしくはマイカーを検討している場合は、このクリーンエネルギー自動車導入促進補助金を利用して、エコカーを導入してみてはいかがでしょうか。その選択が、2050年のカーボンニュートラルの実現につながるかもしれません。