社労士が解説、長時間労働のない職場づくり(第4回)監視や終礼などを活用し対策を練る

業務課題 法・制度対応

公開日:2021.03.16

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 会社は「時間外労働を減らしましょう」と社員にアナウンスし、啓発し、周知するだけでは不十分です。会社がいくら「時間外労働を減らす」と口先だけで唱えても、何ら対策を採らなければ、何もしていないのと同じことです。

 今までに労働者や上司の意識改革を行うことによって職場の雰囲気を変えることや時間外労働を許可制にすることなどについて説明してきましたが、このほかに会社がすべきことはないでしょうか。今回は、時間外労働を減らすことを徹底させるために、ほかにどのような措置が考えられるかについて説明します。

●事例1 会社にダラダラ残っている

A社は時間外労働を減らす取り組みをして、定時を超えて労働する社員については上司の許可を必要とすることとしました。ところが上司の許可も受けず、ダラダラしている社員は後を絶ちません。おまけにその上司も、その状態を見て見ぬふりをしています。これでは時間外労働を黙認していると取られても仕方ありません。

人事部などが終業時刻後に見回り、監視する

 上司によっては、会社と異なる方向にベクトルが向いていたり、部下に何も言えなかったりする人がいます。さらに、会社がいくら定時に帰るよう口を酸っぱくして言っても、なかなか言うことを聞かない社員もいますから、第三者である人事部や総務部の担当者が終業時刻後の見回りをすると有効です。

 そして、許可を受けていない社員が時間外労働をしていた場合は、帰るよう促し、上司の許可を受けていない時間外労働に対しては賃金が支払われない旨を伝えます。また、その上司に対しても、時間外労働の許可を受けていない社員に帰る指示・命令を出すよう促す必要があります。

 もちろん、その都度、どこの部署の、誰が、何時まで残っていたかを記録し、後日、総務部長や人事部長に報告の上、人事考課の対象とすることもできます。このように第三者が見回り、注意をすることによって、時間外労働に対する意識が浸透することもあります。

終礼で帰社時刻を確認する

 小学生や中学生の頃、1日のすべての授業が終わると反省会のようなものが行われ、その日の出来事を振り返ったり、先生から連絡事項を伝えられたりしたと思います。

 これと同じように、終業時刻の10分ほど前に終礼を行うことも有効です。この終礼で、お互いの連絡事項や今後の予定などを伝達し合うと同時に、社員各自がその日の終業予定時刻を伝え合うようにします。定時に帰る人は「今日は定時に帰ります」、上司から時間外労働の許可を受けている人は「今日は〇○の業務が残っているため1時間残業して18時に帰宅予定です」のように自分の予定を伝達します。

 こうすることによって、まず社員自身が、自分のその日の帰社時刻を意識することができますし、上司の監視の目も行き届くことになります。

朝礼で前日の帰社時刻、当日の帰社時刻を確認する…

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