ビジネスコミュニケーション手法の改善(第10回)
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公開日:2021.03.16
テレワークを実施する際の代表的な課題の1つとして、コミュニケーション不足が挙げられます。従業員が働く環境でコミュニケーション不足がもたらす影響にはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は、テレワークにおけるコミュニケーション不足がもたらす影響や、その対策方法について解説します。
コミュニケーション不足になりやすいのは、テレワーク実施時の課題の1つです。コミュニケーション不足による業務への影響について見ていきましょう。
<勤怠管理の複雑化>
テレワークでは従業員の勤務状況を直接確認できず、出勤・退勤などは本人の自己申告になります。そのため、従来通りの労務管理では勤怠管理は難しくなり、残業や休憩時間、休日出勤などの管理も含めると複雑化します。
勤怠管理の複雑化もテレワークにおけるコミュニケーション不足が起因しているといえるでしょう。
<マネジメントがしにくい>
上司から部下への指示が伝わりにくいことや、タスクの進捗具合などを直接確認できずにマネジメントがしにくい点もテレワークにおけるコミュニケーション不足で挙げられる課題です。目の届かない場所にいる従業員に対して、効果的にコミュニケーションを取れる環境づくりが重要になります。
<対面と比べて雑談の機会が減る>
意外と軽視しがちですが、従業員同士の雑談はお互いを理解し合う重要な要素です。しかし、テレワーク時は気軽にコミュニケーションを取る手段を用意しなければ、雑談もままなりません。従業員同士のコミュニケーションが減れば、チームとしての業務に支障が出る可能性も出ます。
加えて、テキストベースのやり取りがほとんどになってしまうため、言葉のニュアンスがうまく伝わらずに関係性が悪化する可能性も考えられます。
テレワーク時のコミュニケーション不足に対する課題について、企業ではどのように対策を講じているのでしょうか。総務省の発表によれば、テレワークによる働きやすい環境の実現のためにテレワークと併せてビジネスICTツールや制度の導入を行っている企業は87.5%です。企業が導入するビジネスICTツールについて1つずつ見ていきましょう。
<ビデオ会議システムの導入>
テレワーク導入企業の49%がビデオ会議システムを導入しています。ビデオ会議システムは、遠隔地にいる相手と会議を行うシステムです。離れていても同じ会議室にいるように相手の顔を見ながら会議を行えます。
似たようなシステムにWeb会議システムがありますが、両者の違いは専用機器が必要か否かにあります。ビデオ会議システムは専用機器が必要であり、Web会議システムはブラウザーなどから利用でき専用機器は必要ありません。
従業員同士のコミュニケーション不足を解消する意味では、より気軽に利用できるWeb会議システムの利用を検討するとよいでしょう。ただし、Web会議システムは利用者のネットワーク環境によって画像や音声の質が左右されます。重要な会議ではビデオ会議の利用がお勧めです。
<ビジネスチャットの導入>
テレワーク導入企業の39.6%がビジネスチャットを導入しています。ChatworkやSlackといったツールが該当し、テキストのやり取りだけでなくファイルのやり取りも行えます。
テキストベースのやり取りであればメールでも実現しますが、ビジネスチャットはメールよりもスピード感を持ったコミュニケーションが可能で、メールよりも対面でのコミュニケーションに近い環境を構築できます。近年ではスマホの普及によってチャットツールに慣れた人も多く、テレワークにおけるコミュニケーション不足解消のツールとして欠かせない存在になっています。
<勤怠管理ツールの導入>
テレワークにおける勤怠管理を効率的に実現するには、勤怠管理ツール・システムの導入は欠かせません。テレワーク導入企業の29.2%はパソコン稼働状況とリンクした勤務管理システムを導入しています。
加えて、システム的に従業員の勤務状況を管理することで、従業員の勤務状況の可視化が可能です。従業員側としても、残業や休日出勤などの申請を簡単に行え、管理者と従業員の双方にメリットがあります。
ビジネスICTツールを導入すれば、テレワーク時のコミュニケーション不足は対策可能です。しかし、ただICTツールを導入するだけでは快適なコミュニケーション環境を構築できたとはいえないでしょう。
ここでは、さらにコミュニケーションを活性化する方法について解説します。
<コミュニケーションを取りやすい環境や仕組みを整える>
ビジネスチャットなどのコミュニケーションツールを導入しても、昔ながらの使い方をしていてはあまり意味がありません。例えば、メールの場合は文頭の挨拶や定型的な締めの文章などを記載するマナーが少なからずありますが、ビジネスチャットでは不要です。
スムーズにコミュニケーションを取るには、オフィスで働くときに対面で質問するように、端的にやり取りを行うとスムーズです。加えて、文字だけでは感情やニュアンスが伝わりづらく、絵文字やスタンプなども使っていくとよいでしょう。
さらに、ビデオ会議やWeb会議システムなどを利用する際は、できる限り映像もオンにするのをお勧めします。お互いの顔を見ながらコミュニケーションが取れるようになれば、チャットよりもチームワークを感じつつ業務を進められるからです。加えて、お互いの体調やメンタルヘルスを確認できるメリットもあります。
このようにコミュニケーションを取りやすい仕組みとしてコミュニケーションツールを導入して活用しやすい環境を整えると、コミュニケーションが活発化します。
<業務の可視化>
テレワークを実施する際に、プロジェクトで複数人がタスクを分散して対応する場合には、誰が何をどのくらい進めているのか業務状況が分からなくなりがちです。そこで、タスク管理ツールやグループウェアを導入して、チームでタスクの割り振りや進捗状況を可視化して共有すると、コミュニケーションが取りやすくなります。
タスクの担当者同士のコミュニケーションだけでなく、管理者もプロジェクト全体の進捗具合を管理しやすくなり、全体的な業務の効率化につながるでしょう。
タスク管理ツールを導入しない場合でも、こまめに業務内容や進捗状況を共有することでコミュニケーションの活発化につながります。
<指示を明確にする>
テレワークではこまめに指示をすることは難しいものです。テキストベースのやり取りで細かいニュアンスが伝わりづらく、指示は明確にすることが重要になります。
そのためにも、最終的な成果物や目的を明確にして共有した上で指示を行うとスムーズに進められるようになります。チャットによるテキストだけの指示では伝わらないと判断した場合は、Web会議システムを使って画面を共有しながら指示を伝えることも検討するとよいでしょう。
テレワークを実施する際には、コミュニケーション不足に関する課題の対策が欠かせません。コミュニケーション不足は勤怠管理の複雑化やマネジメントがしにくいなどの問題につながり、かえって業務効率が低下することに。
コミュニケーション不足を解消するために、多くの企業でビジネスチャットツールやビデオ会議ツール、勤怠管理ツールなどを導入しています。加えて、これらは導入するだけでなく、積極的な活用がコミュニケーションの活発化につながります。
ぜひテレワークにおけるコミュニケーションの取り方について、見直してみてはいかがでしょうか。
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=太田 勇輔
ネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト保有。インフラエンジニアとして、官公庁や銀行などのシステム更改をメインに10年従事した後、IT関連ライターとして活動中。プログラミング、ネットワーク、セキュリティなどの解説記事を中心に執筆している。
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