ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2023.05.25
この春、ついに念願だった養蜂を始めてみた。まずは週末趣味といった体で庭にニホンミツバチの巣箱を置いてみたけれど、さて、うまくハチは寄ってくれるだろうか。次第に暖かさを肌で感じるようになってきた4月、ハチが好む香りをつけたシャーレを置いて、巣箱への自然入居を気長に待っている。
八ヶ岳山麓の家に引っ越してきて、今年の春で丸1年がたった。1年目の感想は「家の窓や近所から見る山の景色はいつも最高!」「夏はエアコンいらず(日中も扇風機を使えばしのげる)」「地区の奉仕作業が予想以上に多い(草刈り、用水路の清掃、ゴミ拾い、公民館の大掃除などほぼ毎月)」、そして……「冬は想像以上に寒かった!!」。
このあたりの地域は、強い寒波で朝の外気温が-10度を下回る場合がある。そんなときにうっかり薄着のまま外に出ようものなら、たちまち体温が奪われる危険を感じるに違いない。「ちょっと車へ荷物を運ぶだけ」と外に出た瞬間に、慌てて家に戻るということを私は数回経験した。特に、冬型の気圧配置になったときは、低温に加えて八ヶ岳と南アルプスの間を抜けてくる冷たい強風が吹き付けて、家の庭でもまるで冬山登山をしている時のような厳しさを体感させられた。
だから冬の間は家に閉じこもってなるべく外出をせず、友人たちが割ってくれたまきをストーブにくべながら、デスクワークに徹する日々を送っていた(まき割りの様子は第21回を参照)。軒下にあれだけ積んだ頼りのまきも1月中旬になくなってしまい、あとは家を建てたときに大工さんからもらって保管していた大量の建築端材をまきにして、それも底をつくころ、ようやく春がやってきた。まきが足りるかドキドキしたけれど、あらかじめ準備しておいたもので冬を越せたので、山麓暮らしにも自信がついた。
さて、まきストーブの出番も減り、山麓に桜が咲き始めるころ、同じ山梨に住む友だち、わこちゃんがニホンミツバチの巣箱を届けに来てくれた。実はこの巣箱、以前、私が衝動買いをして、わこちゃんの家で預かってもらっていたものだ。
巣箱との出合いは、4年前にさかのぼる。わこちゃんが主催した“自然を相手に働く人たち”が集うパーティーの会場に、このミツバチの巣箱が展示されていた。1つは丸太をくりぬいた丸胴式巣箱で、もう1つが重箱式巣箱だった。両方とも、わこちゃんの友だちである木工作家さんの手作りだという。
もともと養蜂に興味があったけれど、ニホンミツバチの巣箱を間近で見るのは初めて。どんな造りになっているのか、興味津々に眺めた。でもそのころ私は住宅地のアパート暮らしで、巣箱を買うなど夢のまた夢だった。
すると「私、養蜂をやりたいんだよね。巣箱を買おうかな」と言いながら、わこちゃんが近づいて来た。「わこちゃんも?私もやりたいけれど、アパートでは巣箱を置く場所がないから……」と返事をしかけて、ふと思いついた。わこちゃんの家に巣箱を預かってもらえないかな?わこちゃんはちょうどその頃、広い敷地の家に移住して養蜂にもってこいの環境だったのだ。
そこで「わこちゃんが養蜂をやるなら、私も巣箱を買うから一緒に置いてもらえない?」と聞くと、わこちゃんは「やっぱり食いついてきた」といった表情でニコリ。わこちゃんは、私が興味を持つだろうと見越して、木工作家さんに2つの巣箱を用意してもらったとネタばらしをして私を笑わせた。そして、わこちゃんは丸胴型を、私は重箱型をその場で購入し、「巣箱は複数置いた方が、ハチが来やすいから」と、快く私の巣箱も預かってくれた。
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執筆=小林 千穂
山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。
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ココロ踊る!山麓生活のススメ