ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2023.08.22
八ヶ岳山麓の北杜市へ移住して2度目の夏がやってきた。山岳ライターとして活動し、プライベートでも山好きの私にとって、夏といえば登山のハイシーズン。山に出掛けたくてウズウズしている。息子のガクは3歳になり、だいぶ足も強くなってきたので、この夏は、親子登山を楽しんでみようと思っている。7月下旬、まずは近くの入笠山に登ってみた。そこで得られた意外な登山の楽しみとは……?
八ヶ岳や南アルプス、奥秩父など、大きな山々にぐるりと囲まれた北杜市は、山選びには事欠かない場所に位置する。しかし、子どもを連れて行くとなると、どの山に登るかでけっこう悩む。私ひとりで登山をするならば、自分の好みだけで山選びができるけれど、親子登山ではいろいろなことを気にしなければならないからだ。
まず、3歳のガクと一緒に登るなら、親子ともに過度な負担にならないように行程は長くても4時間程度にしたい。ガクはまだ長時間は歩けず、途中で疲れたときは夫か私が登山用のベビーキャリアで背負うことになる。
また、足元が不安定な場所もガクが転倒しないよう、私たちのいずれかが背負って歩くことになるため絶対に転べないという緊張感がある。だから転んだり滑ったりする危険箇所が少ない山が理想だ。さらに、樹林帯歩きが続くとガクが飽きてグズってしまうので、道や景色に変化がある所を選ぶのもポイント。そうなると、登れる山は限られてくる。
これまでの親子登山では、富士山麓にある石割山(1412m)や、南アルプス市の櫛形山(2052m)などを経験してきた。石割山は、ガクが嫌がるのではないかと心配だった403段の階段登りが意外にも楽しかったようで(もちろん途中で背負うことになり、ガクではなく夫がバテそうだった)、櫛形山はアヤメ平という湿原の木道歩きが大好評だった。
そして今回の行き先で思い浮かんだのが、長野県境を越えたところにある入笠山(1955m)だ。ここはゴンドラで1780mまで上がることができる。ガクは最近、乗り物に興味があるから、ゴンドラに喜んでくれそう。さらに今回は夫が同行できず、私がひとりで連れて行くので、より行程が短いほうがいい。入笠山なら1時間半ほどで山頂に立てる。途中には入笠湿原もあって、今はいろいろな花が見られるはず。標高が高いから、盛夏の暑さも避けられるだろう。
初めてのゴンドラに期待を膨らませているガク。わくわくしながら順番待ちをし、いよいよ乗り込む。最初は何が起こるのかと緊張した表情だったけれど、ゴンドラが建物から飛び出し、標高が上がると大興奮。背後に広がる八ヶ岳の景色を見て「すごいねえ!」と喜んでくれた。
15分ほどの空中遊覧を楽しんだ後、ハイキングをスタート。涼やかな高原の風を感じながらガクの手を引き、入笠湿原へ向かう。湿原への道は遊歩道といった感じで小さい子どもも安心して歩かせられる。10分ほどで着いた湿原はノハナショウブが見ごろで、クマガイソウやグンナイフウロなど紫色の花が爽やかに咲いていた。
ガクは時々、花を指さし「これなんて名前?」と聞いてくる。山に咲く代表的な花の名前は知っている自負があったけれど、ガクが聞いてくるのは、これまで私があまり意識して観察したことのない、小さく目立たない花ばかり。聞かれるたびに「え?なんだろうね……」とタジタジになる。ゴンドラ乗り場でもらった花の冊子を見ると、そんな花もちゃんと載っていて「オククルマムグラ」ということが分かった。ほかの場所でまたガクが見つけたのはズダヤクシュ。どれも他の花に隠れて見逃しがちだが、しゃがんでよく見るととてもかわいい花だった。
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執筆=小林 千穂
山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。
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ココロ踊る!山麓生活のススメ