ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2021.11.24
自宅でWi-Fiを使って、スマホやタブレットをネットにつないでいる方も多いだろう。しかし、その延長線としてビジネスでWi-Fiを使おうとすると失敗することがある。ビジネスWi-Fiを十分に活用するには、家庭用とは異なった機器を使うべきだ。電波の届く範囲、同時接続数、セキュリティなど家庭用とビジネス用では大きな違いがある。
進化するWi-Fiを活用することで得られるメリットはビジネス分野でも大きい。しかし、ちょっとした間違いでそうしたメリットが享受できなくなることもある。その典型例が、家庭用Wi-FiとビジネスWi-Fiの違いを考慮せずに、家庭用Wi-Fi機器をオフィスや店舗に導入してしまうケースだ。同じWi-Fiでも家庭で活用するのとビジネスで活用するのでは何が異なるのか。ビジネスWi-Fiならではの特性、必要となる機器などを解説する。
自宅にWi-Fiを導入している人は少なくないだろう。そして、小規模の事業者の中には、その延長線上でビジネス用途に使う際にも、「家電量販店で購入できる家庭用Wi-Fi機器で十分」と考えてしまう方もいるかもしれない。しかし、そこには落とし穴が待ち受けている。
確かに家庭用Wi-Fi機器は価格も安く、容易に購入することができる。しかも複数端末をインターネットに接続する「ルーター」の機能と、無線を使って各端末に接続する「アクセスポイント」の機能を両方とも備えた無線LANルーターが多いので、基本的には買ってきて外部につながるネット回線と接続すれば、家庭内ですぐにWi-Fiが使えるようになる。
このように設置が簡単なことはメリットだが、ビジネス用途で使うことを考えるといくつかの問題点がある。まず一つがカバーする空間の広さだ。Wi-Fiがつながる距離は通常では障害物がないなど好条件の環境で、アクセスポイントから半径25メートルから50メートル。戸建てで言えば2階くらいまで、マンションでは3LDKの広さくらいまでは対応できる。
ただし、鉄筋コンクリートなどの障害物があるとつながる範囲の距離は狭まり、接続が不安定になってしまう。例えば、木造家屋の2階なら問題なくつながっても、1階天井(2階の床)がコンクリートでできている場合、たとえ2階とはいえつながりにくくなる可能性がある。部屋と部屋の間の壁がコンクリートの場合も同様だ。
オフィスや工場は住宅よりも広いことから、まずアクセスポイントからの距離の問題が出てくる。さらにオフィスや工場の床や壁は、木造ではなく、コンクリート造になっている場合も少なくない。1階が店舗や工場で、2階、3階が事務所といった小さなビルを事業所として使っている場合、家庭用の機器では、安定した接続が望めない可能性がある。これではビジネス用途では使えない。
もう一つが同時接続台数の問題だ。前回、解説した通りWi-Fiの進化とともに接続可能な台数は増えてきている。家庭用Wi-Fi機器でも同時につなげる台数は最大で30台から50台になっているケースもある。これだけあれば家庭用としては全く問題ないだろう。しかし、オフィスで使う場合、足りないケースも考えられる。例えば、25人の従業員が働く事業所で、各人がノートパソコンとスマホを常時接続すれば満杯になってしまう。しかも上限に近い数を接続した場合、伝送速度や安定性に影響する可能性がある。
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執筆=高橋 秀典
【TP】
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