強い会社の着眼点(第19回)
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公開日:2022.08.15
ビジネスWi-Fi導入の目的は、働き方を変え、生産性を高めることにある。せっかくビジネスWi-Fiを導入しても、以前と同様の働き方を続けていてはメリットを引き出せない。そして、標語を設けたり研修をしたりしても、長年慣れ親しんできた働き方を変えるのは容易ではない。では、どうやって従業員を啓発していけばよいのか。ここでは実際に効果があった事例を通してアプローチの方法を考えてみたい。
日経BPコンサルティングが2021年に実施した「オフィスWi-Fi導入実態調査2021」によると、社内無線LAN導入理由・導入意向理由のトップに挙げられているのが「業務プロセスの効率化」「ワークスタイルの変革」だ。これに異論を挟む余地はあまりないだろう。しかし、実際にこれらの目的を達成するのは簡単ではない。そのために何が必要なのだろうか。
ビジネスWi-Fiを導入すれば業務効率が向上し、働き方が変わるわけではない。他の要素との組み合わせが必要になる。その代表的な取り組みがフリーアドレスであり、ペーパーレスであり、モバイルデバイスの活用である。こうした取り組みと合わせて普及させていけば、業務を効率化でき、働き方が変わる可能性は高いが、その実現は一筋縄ではいかない。
オフィスにビジネスWi-Fiを導入すると同時にフリーアドレス環境を整えても、各人がいつも同じ席に座って、従来の課や係、グループ単位で集まって仕事をしているケースも少なくない。これでは、プロジェクトごとに集まって仕事を効率化したり、別組織の人とコミュニケーションをとることで新しい発想を生み出したりする効果はあまり期待できない。
ある地方銀行では、ビジネスWi-Fiを導入するとともに、従来の島型に1人用事務机を並べていたオフィスのレイアウトを、大型テーブルをメインとする構成に変更した。同時に個人用の袖机も撤廃した。そして、個人用のロッカーを用意して、出退勤時にノートパソコン、書類、資料などを個人用ロッカーに片付けるよう徹底した。
この見直しにより、従業員は出社したら、まずは自分のロッカーの鍵を開けて中からノートパソコンや資料などを取り出し、大きなテーブルの好きな場所に座って仕事に取り掛かるようになった。同じプロジェクトのメンバーが出社していたら、その近くに座って仕事をすればコミュニケーションをとりやすい。業務が終わればノートパソコンなどをロッカーに戻して鍵をかけて退社、次の出社日には、その日の業務内容に合わせて、改めて席を選択する。
このようにビジネスWi-Fi導入に加えて、オフィスというハードの変更を実施すればフリーアドレス本来の柔軟な働き方が普及し、業務の効率化を図れるようになる。
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執筆=高橋 秀典
【TP】
ビジネスWi-Fiで会社改造
オフィスWi-Fi導入実態調査2022
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