ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2021.12.09
シニアの雇用を考える際に、注意が必要なのは賃金水準です。定年後、再雇用する際に、賃金を大幅に下げれば、モチベーションも下がってしまう恐れがあります。賃金水準を含めてシニアを戦力として生かすための制度や環境を作るのは大変ですが、高齢者雇用にはさまざまな助成制度も用意されています。それを適切に活用してシニアが活躍できる会社をめざしましょう。
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)では、企業に対して「定年の引き上げ」「継続雇用制度」「定年の定めの廃止」のいずれかの措置をとらなければならないと定めています。そもそも人手不足の折に、それまで会社で経験を積み、業務の内容を熟知している従業員を定年だからといって、みすみす企業の外に放出するのは大変もったいないことです。
ただし、一方的な企業の必要性のみで、 無限にシニアを働かせ続けるのは不可能ですし、シニアからしても、それまで懸命に企業のために働いてきたという思いがあるでしょうから、定年後は、ちょっとペースを落としてゆっくりしたいと考えるのも無理はありません。
そして、一律に定年を引き上げるのであれば、それはそれで一定の拘束力は生じますが、そのようなイチかゼロかという選択肢ではなく、むしろ再雇用制度を充実させて、種々多様な定年後の働き方を提示する方が、シニアにとっても無理のない働きを継続してもらえる可能性が高いです。
再雇用制度においては、定年を迎えた時点で、一旦、労働者との雇用契約は終了になり、その後の働き方は、企業と定年者とで協議して定めるのが原則です。嘱託やパートなどの有期雇用契約に変更することも可能ですし、勤務も必ずしも、週5日でなくても構いません。1年更新などにもできます。
ここで注意しておきたいのは、賃金の問題です。よく「再雇用になって、給与が半分になってしまった」などという定年者の話を聞きますが、例えば、勤務日数が半分になったなど分かりやすい基準があればいいのですが、そうでないのに、「再雇用=退職労働者を安く雇用できる」と安易に考えて、給与を減らしてしまう企業があります。
再雇用時に給与の引き下げを行うことについては、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を定めることが禁止されています。具体的には、正社員の労働条件と相違する場合は、業務の内容と責任の程度、 職務の内容と配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないとされているのです。
ただ、このような法律の定めのことをうんぬんする前に、考えるべきは、定年前とまったく同じことを同じ量だけ、同じ責任を負ってやっているのに、給与が半分になったら、誰もやる気がなくなってしまうということ。もし、「いや、定年前の給与が高過ぎたんだ」というのであれば、それを減らすべきです。
同一労働同一賃金(同じ能力を持っている正規雇用者と非正規雇用者で金額差をつけることはできないということ)の考え方を、経営者は頭にたたき込んでおかなければなりません。逆に言えば、たとえ嘱託やパートでも正社員より仕事ができるのであれば、嘱託やパートのほうが給与は高くなっていいのです。同じ成果を会社にもたらしているのであれば、別に企業としても困らないはずです。正社員偏重主義の考え方は、本腰を入れて見直すべきです。
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執筆=小澤 和彦
弁護士法人 後藤東京多摩本川越法律事務所 弁護士。第二東京弁護士会の西東京市男女共同参画推進委員会委員長。業務分野は企業法務、知的財産など。主な著作として「相続戦争を勝ち抜く85のルール―相続財産の分配で、モメそうなときに読む本」(九天社)など。
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