ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2022.01.28
農業支援外国人材を活用するには、労働時間や休暇に配慮し、適切な住居を用意するだけでなく、人材を派遣する事業者に必要な通知・報告をする必要もあります。さらに、場合によっては監督機関から現地調査を受けることもあり得ます。こうして受け入れた外国人の労働期間は通算3年。この期間をいかに実のある時間とするのか農業経営体の工夫が問われます。
前回、外国人材の派遣を受けるための要件として図表1を挙げ、4の労働時間・休暇・休日についての課題を説明し、5の住居についていかに詳細な規定があるのかを説明しました。
■図表1 外国人材の派遣を受け入れるための要件
1 | 外国人を過去5年以内に少なくとも6カ月以上雇用した経験があるか、または、労働局が実施する派遣先責任者講習を受講した者を責任者に据えていること |
2 | 過去5年以内に労働基準法、出入国管理法に違反したなどの欠格事由に該当していないこと |
3 | 外国人材と同じ作業などに従事する労働者をその意思に反して退職させたことがないこと |
4 | 外国人材の労働時間・休憩・休日に配慮していること |
5 | 住み込みで働く場合には、外国人材の住居内の生活環境に配慮していること |
6 | 派遣事業者に対する必要な通知・報告を行うこと |
7 | 「適正受入管理協議会」による現地調査を受け入れること |
8 | この事業の適切な実施に必要な法令(出入国管理法、労働基準法、労働者派遣法)に基づく措置を行っていること |
そして、受け入れる農業経営体は、こうした要件をクリアするだけでなく、6にあるように派遣事業者に通知・報告をする必要があります。まず、1カ月に1回、通知を行う事項は次の通りです。
・外国人材の氏名
・実際に農作業などに従事した日
・作業従事日ごとの始業・終業時刻および休憩時間
・従事した農作業などの内容
・農作業などに従事した場所
さらに、3カ月に1回は、次のことも報告しなければなりません。
・外国人材と同じ作業などに従事する日本人従業員についての新たな雇用人数など
・外国人材の農作業以外の作業への従事状況、勤務・生活態度など
・外国人材と同じ業務に従事する日本人従業員の就労日数
・外国人材からの苦情・相談件数とその内容
・1カ月当たりの最長労働時間数、最少休日日数、休暇の付与・取得の状況
・健康診断の実施の有無、労働災害の発生の有無など
7の「適正受入管理協議会」とは、関係自治体と内閣府地方創生推進事務局、地方入国管理局、都道府県労働局、地方農政局とで構成され、派遣事業者や農業経営体に対する監督や指導を行うための機関のことです。
農業経営体からの報告は、派遣事業者を通して、この「適正受入管理協議会」に報告され、その報告内容などに関して確認が必要と判断した場合には、「適正受入管理協議会」が農業経営体に対する現地調査を行います。
8については、当然ながら、暴力・脅迫などは刑法犯になりますし、パスポート・旅券の取り上げ、報酬の未払いなどがないようにしなければなりません。このようなことがあれば以後、外国人材の派遣を受け入れることができなくなるのは当然、処罰の対象ともなります。
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執筆=小澤 和彦
弁護士法人 後藤東京多摩本川越法律事務所 弁護士。第二東京弁護士会の西東京市男女共同参画推進委員会委員長。業務分野は企業法務、知的財産など。主な著作として「相続戦争を勝ち抜く85のルール―相続財産の分配で、モメそうなときに読む本」(九天社)など。
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